英国、10億ポンドでバッテリー電車29編成 国内製造で6000人の供給網雇用を支援

2026年09月13日 12:08

英国運輸省

英国政府が発表したバッテリー電車導入計画のイメージ。29編成をAlstomのダービー工場で2028年から製造し、2034年冬からの営業運転を予定している(画像:英国運輸省)

今回のニュースのポイント

英国政府は9月11日、北部イングランドの鉄道網向けに、約10億ポンド規模の投資を通じてバッテリー電車29編成を導入すると発表しました。長距離幹線サービスに投入するバッテリー電車として英国初となります。車両は鉄道金融企業Rock Railが購入し、運行会社のTransPennine Expressへリースする仕組みで、Alstomのダービー工場で2028年から製造を開始、2034年冬からの営業運転開始を予定しています。新型車両は非電化区間をバッテリーで走行できる設計とされ、非電化区間でも排出ガスを出さずに運行可能と説明されています。これによりマンチェスター―リーズ間で最大10分、マンチェスター―ヨーク間で最大14分の所要時間短縮を見込みます。英国政府は本投資を、ダービー工場の高度技能職350人超や英国内サプライチェーンの約6,000人の雇用を支える「再工業化」政策の一環として位置付けています。

本文
 英国政府は9月11日、北部イングランドの鉄道ネットワーク強化に向け、約10億ポンド(約1900億円)規模の投資を支援し、バッテリー電車29編成を導入すると発表しました。長距離幹線(main line)サービスに投入される同種車両としては英国初の事例となります。今回の発表において英国政府は、単なる鉄道サービスの改善にとどまらず、英国国内での車両製造、サプライチェーンの維持、高度技能雇用の確保を目指す「再工業化(reindustrialise Britain)」政策の一環として本投資を位置付けています。

 導入される新型車両は、Alstom社が手掛ける「Adessia Stream」の29編成です。本事業の手続きにおいて、車両そのものは鉄道投資会社のRock Railが購入し、運行を担当するTransPennine Expressへリースする仕組みが採られます。英国政府は約10億ポンド規模の投資プロジェクト全体を支援する形となっており、事業者側は関連するインフラ整備等も含めた包括的な取り組みとして説明しています。製造は鉄道車両生産の歴史を持つダービーのLitchurch Lane工場が担い、2028年に製造を開始、2034年冬からの営業運行開始を予定しています。現在は投資および製造計画が公表された段階であり、実際の運行開始は将来の予定です。

 新型車両は非電化区間をバッテリーで走行できる設計とされており、英国政府は架線が未整備の区間でも排出ガスを出さずに運行できると説明しています。

 新型車両が投入されるのは、リバプール(Liverpool Lime Street)〜スカーバラ(Scarborough)、マンチェスター空港(Manchester Airport)〜ソルトバーン(Saltburn)、マンチェスター(Manchester Piccadilly)〜ハル(Hull)など、北部イングランドの主要都市間を結ぶ長距離幹線路線です。政府発表によれば、新型車両の導入等により、マンチェスター〜リーズ間で最大10分、マンチェスター〜ヨーク間で最大14分の所要時間短縮が見込まれています。なお、英国政府が推進する広域インフラ整備計画「Transpennine Route Upgrade」全体としては、2030年代初めから半ばにかけてペナイン山脈横断路線の輸送能力を30%拡大し、1日あたり数千席の座席を追加することを目指しています。

 英国政府が今回の発表で強調しているのが、国内産業および雇用への波及効果です。一連の投資計画により、Alstomのダービー工場において350人超の高度技能職が維持・支援されるほか、40人の見習い(apprentices)および40人の学生(scholars)への支援が行われます。さらに、英国全土のサプライチェーン全体で約6,000人の雇用を支える(backing)としています。ここで示されている約6,000人は「新規雇用6,000人」を意味するものではなく、英国のサプライチェーン全体で支援される雇用を示しています。政府は一連の取り組みが英国経済に対して約3億6000万ポンドの波及効果をもたらすと試算しています。

 鉄道投資を単なる機器の調達で終わらせず、国内の製造拠点、技能、サプライチェーンを支える再工業化の取り組みとして機能させられるかが焦点となります。2028年の製造開始、2034年冬の営業運行開始に向け、約10億ポンド規模の投資計画が予定通り進み、車両導入や雇用・供給網への支援が実現するかが今後の確認点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)