空き家となった戸建て住宅。GMO TECHの調査では、親の実家を相続し現在も空き家として所有する1,019人のうち、38.6%が空き家となっている理由に「今後の方針が決まっていないため」を挙げた。総務省によると、2023年の全国の空き家は900万戸に達している。(画像はイメージ)
今回のニュースのポイント
不動産関連事業を手掛けるGMO TECHが公表した調査によると、親の戸建て住宅を相続し現在も空き家として所有する1019人のうち、38.6%が空き家となっている理由に「今後の方針が決まっていないため」を挙げました。相続前に親と「十分に話し合っていた」層でも42.8%が同様の回答を示しています。総務省の2023年統計で全国の空き家が900万戸に達するなか、別のアプローチである相続土地国庫帰属制度(2026年6月公表分で帰属2606件)の動向も含め、人口減少下の日本において相続不動産の「利用・管理・手放し方」といった出口の課題が多角的に表面化しています。
本文
不動産査定サービス等を展開するGMO TECH株式会社は、親が所有していた戸建て住宅(実家)を相続し、現在も空き家として所有している全国の男女1,019人を対象に実施した「相続した実家の空き家化に関する実態調査」の結果を公表しました。調査期間は2026年7月17日から22日で、インターネット調査方式により実施されたものです。
調査において、現在実家が空き家となっている理由を複数回答で尋ねたところ、最も多かった回答は「今後の方針が決まっていないため」の38.6%となりました。相続した実家について、今後の方針が決まらないまま空き家として所有している回答者が一定数いることが数字として示されています。
注目されるのは、相続前における事前の話し合いの程度と、相続後の状況との関係性です。相続前に親と実家の将来について「十分に話し合っていた」と回答した人は全体で14.2%、「ある程度は話し合っていた」は42.6%でした。しかし、このうち「十分に話し合っていた」と回答した層に限って空き家となっている理由を見ると、42.8%が「今後の方針が決まっていない」を選択していました。事前に「十分に話し合っていた」と回答した人の中にも、現在空き家となっている理由として「今後の方針が決まっていない」を挙げた人がいることが分かります。
所有継続に伴う行政との接点や制度認知についてもデータが示されています。空き家となっている実家について、60.5%が自治体から管理状況に関する何らかの連絡や通知を受けた経験があると回答しました。また、「管理不全空家等」や「特定空家等」として勧告を受けた場合に固定資産税等の「住宅用地特例」の適用対象から除外される制度仕組みについては、「詳しく知っていた」が20.1%にとどまり、「聞いたことはあるが詳しく知らなかった」(54.1%)と「まったく知らなかった」(25.8%)を合わせた79.9%が、同制度の詳細を把握していませんでした。
この民間調査の背景にあるのが、日本全体の住宅ストックの変化です。総務省が公表した「令和5年住宅・土地統計調査」によると、2023年時点の全国の空き家数は900万戸、空き家率は13.8%に達しており、空き家数は1993年からの30年間で約2倍に拡大しています。今回の民間意識調査と総務省の全国統計は対象母集団が異なるものの、空き家数の増大というマクロな構造変化のなかで個人の所有意識や管理課題が存在している状況が確認されます。
また、相続した不動産の出口をめぐる問題は、建物付きの空き家にとどまらず土地資産においても顕在化しています。財務省が公表した「相続土地国庫帰属制度」の運用実績(2026年6月発表時点)によると、国庫への土地帰属件数は累計2,606件に達し、財務局等による引き受けは1,586件を数えました。財務省によると、売却の可能性が見込まれる土地は通常の売却手続きに沿って一般競争入札に付していたが、2026年6月17日時点で売却に至ったものはなかったとしており、段階的な評価額引き下げによる流動化方針が示されていました。
今回公表された空き家所有者の意識調査と、国の相続土地国庫帰属制度は制度的対象や取り扱いが異なる別のデータですが、いずれも「相続された不動産をその後誰がどのように利用し、管理や処分を行っていくか」という共通した構造的課題に接しています。
全国の空き家が900万戸に達し、土地の国庫帰属制度の活用も進むなか、相続した不動産について「誰が権利を承継するか」という手続きにとどまらず、承継後に「誰が利用し、誰が管理し、どのような形で手放すのか」という相続不動産の「出口」が、一つの論点として浮かび上がります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













