AIデータセンターやビル間、6G基地局ネットワークなどを大容量無線で接続する利用イメージ。NTTは、サブテラヘルツ帯を利用し、100メートルの距離で毎秒2テラビット(2Tbps)の無線伝送に成功した。AIデータセンター内やビル間通信、6G向け回線などへの適用を目指している。(画像はイメージ)
今回のニュースのポイント
NTTは9月14日、100~300GHzのサブテラヘルツ帯を利用し、100メートルの距離で毎秒2テラビット(2Tbps)の大容量無線伝送に成功したと発表しました。NTTによると、サブテラヘルツ帯を利用した無線伝送として世界最高速となります。2023年には1メートルの距離で1.4Tbpsの無線伝送に世界で初めて成功していましたが、今回は伝送速度を2Tbpsへ高めながら、屋外実験で伝送距離を100メートルまで伸ばした点が大きな進展です。AIデータセンター内やビル間通信、6G向け基地局ネットワークなどへの活用が想定されています。
本文
NTTは2026年9月14日、100~300GHzのサブテラヘルツ帯を利用し、100メートルの距離において毎秒2テラビット(2Tbps)の大容量無線伝送実験に成功したと発表しました。サブテラヘルツ帯を利用した無線伝送技術として世界最高速(同社調べ)としています。
NTTは2023年、同周波数帯において1.4Tbpsを1メートル伝送する実験に世界で初めて成功していました。今回の実験では、136.0~148.5GHzおよび151.5~164.0GHzの周波数帯を使用。同じ周波数帯で複数の信号を同時に送る空間多重技術を組み合わせ、8つのOAMモード、モード内最大2多重、水平・垂直の偏波多重を組み合わせることで、大容量を維持しながら、NTTが「実用的な伝送距離」とする100メートルまで伸長させました。
今回実現した「2Tbps」という伝送速度について、NTTは800Gbpsや1.6Tbps級の次世代光通信規格に匹敵する通信速度として位置付けています。背景には、生成AIの学習や推論に伴い、多数のGPUやサーバー間でやり取りされるデータ量が爆発的に増加している現状があります。計算能力だけでなく機器間をつなぐ通信網の大容量化と実用距離への伸ばし込みが課題となるなか、NTTはデータセンター内のラック間などを大容量無線で結ぶことで、配線敷設の柔軟性を高められる可能性があるとしています。
技術面では、電波の位相をらせん状に変化させて異なる状態の電波を同時に送る「OAM(軌道角運動量)多重」技術などを採用し、OAMモード多重やモード内多重、水平・垂直の偏波多重を組み合わせ、同じ周波数帯で最大22の空間多重を実現しました。さらに、多重化した信号の分離・処理の大半をアナログ信号処理で行う構成を採用し、8素子×2リングの構成例において、フルデジタル処理と比べてデジタル演算負荷を数百分の1に低減しました。NTTは、アナログ信号処理主体とすることで、デジタル信号処理に伴う演算遅延や消費電力も数百分の1に抑えられるとしています。あわせて、回路規模を従来の試作機から2倍に拡張しながら、回路サイズは約40%小型化しています。
NTTは今後、本技術をAIデータセンター内の大容量通信のほか、ビル間通信、6G基地局のバックホールやフロントホール、イベント会場での臨時中継回線などへの適用を目指す方針です。光ファイバーの物理的な敷設が困難な場所においても、テラビット級の通信環境を無線で構築できる選択肢となります。なお、今回の発表において、具体的な商用化時期や製品価格、実際のデータセンターへの導入時期などは示されていません。
生成AIの普及に伴いデータ処理能力が高まるなか、それらを支える通信インフラの広帯域化が重要なテーマとなっています。NTTが今回実証した毎秒2テラビット・100メートル伝送は、2023年の1メートルから伝送距離を伸ばしたことで、短距離での高速伝送実証から、AIデータセンターや6Gなど具体的な利用環境を見据えた開発が一段進んだことを示しています。今後は実際の運用環境における通信の安定性確保や、商用化に向けた装置のさらなる小型化・低消費電力化の検証が焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













