富士通、国産CPU「MONAKA」を世界販売 2nm採用、ソブリンAI基盤を国内製造

2026年09月14日 16:16

富士通

次世代CPU「FUJITSU-MONAKA」を搭載する「Fujitsu MONAKA Server」。富士通は同CPUを国内で設計・開発し、搭載サーバを国内の笠島工場で製造する。AI推論では、同社によると他社CPU比2倍のスループットを発揮し、同等の処理量に必要なサーバ台数と消費電力を半減できるとしている。(画像:富士通リリースより)

今回のニュースのポイント

富士通は14日、国内で設計・開発した次世代CPU「FUJITSU-MONAKA」について、2026年11月からプロセッサ単体のグローバル販売を開始し、搭載サーバも日本・欧州向けに販売すると発表しました。2nmと5nmプロセスを3D積層した構造を採り、富士通によるとAI推論で他社CPU比2倍のスループットを発揮し、同等の処理量に必要なサーバ台数と消費電力を半減できるとしています。搭載サーバは国内の笠島工場で製造し、データの国内管理やサプライチェーンの透明性を確保した「ソブリンAI」基盤として、企業や研究機関に加え防衛分野にも展開する計画です。

本文
 富士通株式会社は2026年9月14日、日本国内で設計・開発を行った次世代CPU「FUJITSU-MONAKA(以下、MONAKA)」について、同年11月からクラウド・データセンター事業者やサーバベンダー向けにプロセッサ単体での販売を開始すると発表しました。あわせて同CPUを搭載した自社製サーバ「Fujitsu MONAKA Server」を日本および欧州市場向けに展開します。

 発表によると、MONAKAは演算部分に2nmプロセス、キャッシュおよびI/O部分に5nmプロセスを採用し、これらを3D積層構造で接合した設計となっています。最大動作周波数は3.8GHz、メモリ転送速度は8800MT/sに達します。富士通は、AI推論処理の中核となる行列演算を専用命令でハードウェア支援し、SVE2ベクトル演算やソフトウェア最適化等を組み合わせることで、CPU単体で実用的なAI推論性能を実現するとしています。富士通の示している比較結果によると、AI推論において他社CPU比で2倍のスループットを発揮し、同等の処理量に必要なサーバ台数と消費電力を半減できるとしています。

 また、1Uサーバでは、専用の冷却設備がなくとも空冷で周囲環境温度40度、水冷で水温45度までの環境で利用でき、富士通が培ってきた冷却技術により、サーバ冷却のための電力消費量を最大80%削減できると説明しています。なお、MONAKAに適用されている新技術には、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助事業の成果が活用されていると明記されています。

 MONAKAを搭載する自社製サーバについて、富士通は国内で設計・開発を行い、国内の笠島工場で製造を行います。部品の出所や製造履歴を追跡・可視化するトレーサビリティの確保やセキュリティ強化、運用自律性、データの国内管理、ガバナンスを備えることで「ソブリンAI」の実現に向けた基盤として位置付けています。販売対象としては、データセンター事業者、一般企業、大学やHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)領域に加え、防衛分野への展開も明記されています。

 今後の供給スケジュールについて富士通は、2026年11月からの販売開始発表に続き、プロセッサ単体を2026年度第4四半期から提供予定としています。自社製サーバについては2026年度下期に一部顧客へ先行提供し、2027年4月以降に日本・欧州向けに順次出荷を開始する予定としています。

 富士通は、生成AI活用の拡大に伴う計算資源の供給不足や電力需要の増加を背景として挙げています。国内で設計・開発したCPUと、国内で設計・開発・製造するサーバを組み合わせたAI基盤として、2026年度下期から予定される先行提供やその後の順次出荷を経て、実際の運用環境における性能や電力効率の検証が進むことになります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)