飲食料品の消費税、2027年4月から1%へ 政府が大綱、所得連動の支援金も導入

2026年09月15日 17:20

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政府が飲食料品の消費税率引き下げと就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱を閣議決定した首相官邸。飲食料品の税率を2027年4月から2年間、現行8%から1%へ引き下げ、所得に連動した支援金を組み合わせる方針を示した。

今回のニュースのポイント

政府は9月15日、「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」を閣議決定しました。現行8%の軽減税率が適用されている飲食料品について、2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、消費税率を1%に引き下げます。同時に、中低所得の就業者を対象に「就業者負担軽減支援金」を2027年4月から導入します。政府はこの2年間を2029年度の本格制度導入に向けた「つなぎ」と位置づけ、将来的な本格的「給付付き税額控除」の実現に向けた第一歩として可及的速やかに必要な法制上の措置を講じる方針です。

本文
 政府は2026年9月15日、「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」を閣議決定しました。物価高による家計負担の軽減と中低所得層の手取り増、就業抑制(いわゆる「年収の壁」)の緩和を目的に、税率引下げと新たな現金給付制度を組み合わせた大規模な制度改革の全容が示されました。政府は大綱に基づき、必要な法制上の措置等を可及的速やかに講じる方針です。

■飲食料品の消費税率は8%から1%へ 2年間の時限措置

 最も直接的に生活へ影響するのが飲食料品に係る消費税率の減税です。2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間に限り、税率を現在の8%から1%(国税0.78%、地方消費税0.22%相当分)へと7ポイント引き下げます。

 対象範囲は現行の軽減税率が適用されている飲食料品とし、範囲自体の変更はありません。一方で、現在8%が適用されている「週2回以上発行される新聞の定期購読分」は今回の1%化の対象外となり、現行制度が維持されます。また、外食についても従来通り軽減税率の対象外となります。外食事業者と中食・内食との税率差による影響を考慮し、政府はテイクアウト等の事業多角化や生産性向上に向けた支援策を別途講じるとしています。

■所得に連動した「就業者負担軽減支援金」を創設

 税率引下げと並ぶもう一つの柱が、新制度「就業者負担軽減支援金」の導入です。税金や社会保険料の負担から現金給付を差し引いた「純負担率」を踏まえ、中低所得の現役就業者を対象に所得水準等に応じた給付を行います。

 支援金は個人単位で支給し、一定の勤労所得がある中低所得の現役勤労者を対象とします。勤労所得には給与収入に応じて算定した額に加え、一定額を超える事業所得や業務に係る雑所得も含め、所得水準などに応じて支給します。

 給付の設計は、所得が一定以下の段階では「定額」とし、その後は就業促進の観点から勤労所得に応じて給付額を「逓増(増額)」させ、一定水準に達した後は「定額」、高所得になるにつれて「逓減・消失」させる構造を想定しています。さらに「年収の壁」による手取り減少に対応する就業促進特例加算や、扶養する子どもの人数に応じた加算も設ける。2027〜2028年度のつなぎ期間では16歳未満の扶養親族を対象とし、2029年度の本格制度では18歳以下の子どもを対象とする設計です。なお、具体的な所得基準や給付額の詳細は今後詰める方針です。

 政府はこの支援金(飲食料品に係る消費税1%相当分の範囲内で実施)と税率1%への減税を組み合わせることで、「全体として飲食料品に係る消費税の実質ゼロ化」を実現するとしています。

■2029年度の本格導入へ 段階的な移行プロセス
 今回の措置は単発の経済対策ではなく、将来的な構造改革へ向けた段階的プロセスとして設計されています。

 
工程表では、以下の三段階で移行が進められます。

 2027年4月 飲食料品の消費税率を1%へ引き下げ、就業者負担軽減支援金を導入

・2029年度 所得に連動した給付制度を本格導入

・その先 本格的な「給付付き税額控除」の制度像を継続検討

 2029年度からの本格制度では、高所得の配偶者がいる場合の一定の例外を設けるほか、18歳以下の子どもの人数に応じた加算を行い、制度の精緻化を図ります。さらに政府は、金融所得や預金利子所得、保有資産を制度にどう反映するかに加え、給付と税額控除を組み合わせる仕組みについても継続して検討するとしています。

■事業者への移行支援と財源方針

 制度導入に伴い、事業者や地方自治体への配慮策も盛り込まれました。
 
 レジシステムの改修やスマートレジ導入を行う中小企業への資金支援を行うほか、総額表示義務については原則維持しつつも、直ちに対応が困難な事情がある場合に限り、税率変更の前後の最大各2カ月間に限り一定の条件で特例表示を認めます。

 農林漁業者に対しては資金繰り支援を行うほか、特に本則課税への移行が難しい簡易課税事業者や免税事業者に対し、個別の売上高に応じた給付の仕組みを設けて経営継続を支えます。また、地方消費税の減収分については全額を地方特例交付金で補填し、必要な地方交付税総額を確保するとしています。

 財源については、市場の信認を維持する観点から「特例公債(赤字国債)には頼らない」方針を明記しました。補助金や租税特別措置の適正化、追加的な税収以外の収入確保など歳出・歳入全般の見直しにより財源を確保し、2027年度の予算編成過程で結論を得るとしています。

 2027年4月から2年間の飲食料品1%減税と支援金による「つなぎ措置」を経て、2029年度の所得連動給付の本格導入、さらには将来の本格的な給付付き税額控除を見据えた税・社会保障の制度改革。支援金の具体的な金額設定や法案の成立に向け、今後の国会論戦と制度設計の細部が次の大きな焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)