今回のニュースのポイント
日本銀行が公表している消費者物価のコア指標から、物価上昇の「中身」に変化がみられます。価格変動の大きい品目を除いて算出する刈込平均値は、2023年から24年にかけてのピークから低下した後、足元では再び2%程度まで上昇しています。一方、価格が上昇した品目の割合は依然として下落品目を大きく上回るものの、2023~24年ごろのピークからは差が縮小しています。政府の負担緩和策や学校給食無償化など特殊要因を除いた物価指標も含め、物価上昇は続いている一方、その強さや広がりは指標によって異なる姿を示しています。
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総務省が発表する消費者物価指数(CPI)に加え、日本銀行調査統計局では、物価の基調的な動きを分析・把握するため、複数の「コア指標」を試算しています。複数の指標を見ることで、一部の品目だけが大きく値上がりしているのか、あるいは幅広い商品・サービスへ上昇が広がっているのかといった「物価上昇の中身」を多面的に捉えることができます。
日銀が示している指標の一つである「刈込平均値」は、品目別の価格変動分布において上昇率や下落率が特に大きい上下各10%の品目を機械的に除外して算出する試算値です。グラフの推移を見ると、刈込平均値は2023年から2024年にかけて3%を超える水準まで上昇した後に低下へと転じましたが、2025年以降は上下の変動を挟みつつ、足元では再び2%程度まで上昇して推移しています。
一方で、物価の捉え方を変えた他のコア指標と比べると異なる挙動も見られます。価格上昇率の高い順にウエイトを積み上げて中央に位置する「加重中央値」や、最も頻度が高い価格変化率を示す「最頻値」の推移を見ると、足元では刈込平均値が2%程度まで上昇している一方、加重中央値や最頻値はこれを下回る水準となっており、指標によって物価上昇の強さに違いがみられます。どの算出手法によって価格の中心的な動きを抽出するかによって値に違いが生じており、物価の基調的な動きは、複数の指標からみる必要があることがうかがえます。
価格上昇の「広がり」を示す品目比率のデータからは、変化が確認できます。前年比で価格が上がった品目と下がった品目の割合を比較したグラフでは、上昇品目の比率が下落品目の比率を依然として大幅に上回っており、幅広い品目で値上がりが継続している状態にあります。ただし、上昇品目の割合が極めて高い水準にあった2023〜2024年のピーク時と比較すると、足元にかけて「上昇品目比率-下落品目比率」の差は縮小傾向にあります。値上がりが一部に限定されているわけではないものの、値上がりの広がり自体はピーク時に比べて縮小しています。
さらに日銀では、政策や制度変更に伴う一時的な押し上げ・押し下げ効果を取り除くため、「特殊要因」を除いた物価動向も試算しています。ここでの特殊要因には、消費税率の変更や2026年4月の学校給食無償化を含む教育無償化政策、ガソリンや電気・ガス代等の負担緩和策、2021年の携帯電話通信料引き下げ、旅行支援策などの影響が含まれます。こうした政策や制度変更などの影響を除いた場合の物価動向をみるため、日本銀行調査統計局が試算しているものです。
この「特殊要因」を除いた物価(生鮮食品除く、生鮮食品・エネルギー除く、食料・エネルギー除く)の推移を見ると、特殊要因の影響を除いても、各系列は足元で前年比プラス圏にあります。一方で、食料やエネルギーの取り扱いによって上昇幅にはそれぞれ差異が残っています。
日銀のコア指標からは、政策要因などを除いても物価上昇が続いている一方、その強さや広がりには変化がみられます。刈込平均値が足元で再び2%程度まで上昇する一方、加重中央値や最頻値との間には差があり、価格上昇品目の広がりもピーク時から縮小しています。「物価が何%上がったか」だけでなく、「どれだけ幅広い品目で上昇しているのか」も、今後の物価動向をみるうえで重要になりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













