仕事への積極性、職種で最大12.7ポイント差 年代・勤続年数より開いた回答率の違い

2026年11月02日 11:42

画・候補1

オフィスでパソコンを使って業務に取り組む様子。仕事への積極性と職場環境の関係を考える(イメージ写真)

 仕事への積極性について考えるとき、私たちは「若手だから」「ベテランだから」といった年齢や勤続年数に目を向けがちです。しかし、そうした属性以上に仕事への姿勢を分ける要素があるのかもしれません。リアルワンの調査によると、エンゲージメントの肯定回答率は職種別で最大12.7ポイントの開きがありました。一方で、年代別や勤続年数別の最大差はともに4.6ポイントにとどまります。仕事への意欲を世代論だけで説明することの難しさが浮かび上がります。

 リアルワンが2026年10月30日に発表した「働く人の仕事と職場に関する意識調査2026」第2弾は、全国の18~59歳の就業者から回収した6,000人のうち4,879人を分析対象としています。各職種200人以上で「その他」を除く主要7職種の分析対象は4,505人です。同調査のエンゲージメントは、行動・思考・情動の3側面、計9項目について「よくある」「ほぼいつもある」と答えた割合を平均した肯定回答率として集計されています。全体の肯定回答率は37.3%で、日々の仕事に向き合う姿勢を多角的に測定した数値です。

 主要7職種の肯定回答率を比較すると、職種間で大きな違いが見られました。最も高かったのは医療・福祉・教育職の42.4%でした。これに対し、生産・製造・物流・現場作業職は29.7%、事務・業務オペレーション職は29.9%にとどまり、最大で12.7ポイントの差が生じています。職種により業務内容や裁量、対人関係は大きく異なります。ただし、職種自体が意欲を決めていると断定はできません。給与水準や雇用形態、労働環境など、職種に付随する多様な条件が回答傾向に影響している可能性を考慮する必要があります。

 一方、年代別の最大差は20歳代以下(39.6%)と50歳代(35.0%)の4.6ポイントでした。勤続年数別の最大差も3年以上5年未満(39.2%)と1年以上3年未満(34.6%)の4.6ポイントです。回帰分析でも職種ごとの傾向は維持されたとされますが、区分数や回答者構成が異なるため、最大差だけで影響力の大小を直接比較することには限界があります。それでも、年齢や勤続年数による開きが比較的小さかった事実は、従来の世代論を再考する材料となります。

 仕事への姿勢を個人の属性だけで捉えないための手掛かりは、他の調査からも見出せます。リクルートマネジメントソリューションズが2026年9月30日に発表した調査(従業員400人以上の大卒等・入社1~12年目の社員1,393人対象)では、必要最低限の仕事にとどまる層の中にも、仕事に意味を感じると自律的に取り組む「意味スイッチ型」が存在することが示されました。この層は業務全般への意欲が低いわけではなく、意味を感じる取り組みには前向きでワーク・エンゲイジメントも高い傾向があります。一方、意欲が停滞する「静かな退職型」では上司の支援や成長機会の不足が指摘されています。

 二つの調査は測定尺度や対象が異なる別個のものですが、従業員の自律性を引き出す環境の重要性を示唆しています。仕事への積極性は、年齢を重ねれば自然と高まるものでも、特定の職種だからといって一律に固定されるものでもありません。自分が担当する業務の意味を実感できるか、自身の能力を活用し成長を感じられるか、一定の裁量や適切なフィードバックがあるかといった職場環境にも、目を向ける必要があるでしょう。単なる職種区分の違いにとどまらず、日々の業務を通じて仕事の手応えを得られる設計がなされているかが重要な視点となります。

 企業の人材マネジメントにおいて、世代ごとの傾向を把握することは一定の意義を持ちます。しかし、従業員の意欲や積極性を年齢や勤続年数という記号だけで捉えてしまうと、現場で生じている本質的な課題を見落としかねません。職種ごとの業務特性に合わせた環境づくりを進めるとともに、社員が日々の業務に納得感や意味を見出せる支援を行えているか。仕事への積極性を個人の資質や年齢の問題に帰結させるのではなく、組織の関わり方や職場環境のあり方から問い直す姿勢が、これからの企業に求められています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)