インド、半導体政策第2段階に1兆2750億ルピー 2035年度の国内需要2000億ドル超を予測

2026年09月18日 07:44

半導体イメージ

半導体を搭載した電子基板を表すイメージ。インド政府は、製造拠点に加え、チップ設計、製造装置・材料、研究開発、人材育成などを対象とする第2段階の半導体政策「Semicon 2.0」を進める(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

インド政府は9月17日、同日ニューデリーで開幕した「SEMICON India 2026」に合わせて同国の半導体産業の現状と次期政策をまとめた公式解説資料を公表しました。7月15日に承認済みの第2段階政策「Semicon 2.0」(1兆2750億ルピー規模)について、従来の製造拠点中心の施策から、設計、製造装置・材料、研究開発、人材育成などサプライチェーン全体へ対象を拡張する方針を提示しました。併せて、インド国内の半導体需要が2030年度に1100億ドル、2035年度には2000億ドル超へ拡大するとの予測を示しています。

本文
 インド政府プレスインフォメーションブロー(PIB)は現地時間9月17日、ニューデリーで開幕した「SEMICON India 2026」に合わせ、同国の半導体政策の進捗と市場見通しをまとめた包括資料を公表しました。

 今回の公表資料では、7月15日に閣議承認されていた第2段階の半導体支援政策「Semicon 2.0」の具体的枠組みが改めて示されています。同政策の全体規模は1兆2750億ルピー(約2.1兆円、9月17~18日の為替レートを基に換算)に上ります。今回の9月17日の発表は新たな資金決定を行ったものではなく、これまでの実績と次期政策の方向性を公式に取りまとめたものです。

■製造中心から装置・材料・設計へ政策対象を拡張

 「Semicon 2.0」における最大のポイントは、政策支援の対象範囲を大幅に広げた点にあります。

 同政策は、(1)研究開発、(2)チップ設計、(3)製造装置および材料、(4)新規ファブの設置、(5)人材育成、(6)ATMP/OSATなど後工程・先端パッケージングのさらなる強化、という6つの戦略的柱(six strategic pillars)で構成されます。

 2021年に始動した第1段階「India Semiconductor Mission」(7600億ルピー規模)が主に製造ファブや後工程工場の誘致・基盤整備を中心に展開していたのに対し、「Semicon 2.0」では設計から装置・材料、研究、高度人材の育成まで、半導体サプライチェーン全体をカバーする産業基盤の構築を目指す段階へ移ります。

■第1段階の実績:12拠点・1兆6400億ルピー超の投資承認

 政府資料では、これまでの政策運用による具体的実績数値も提示されています。

 第1段階において政府が承認した半導体製造拠点は累計12拠点(シリコンファブ1、シリコンカーバイド(SiC)ファブ1、GaN Micro LED Displayの統合ファブ1、パッケージング9)に達し、その総投資額は1兆6400億ルピー(約2.7兆円)を超えています。このうち5拠点については、すでに商業生産を開始していると説明されています。

 また設計分野においては、24件のチップ設計プロジェクト(総額約90億ルピー)が承認されました。人材育成面では、全国500機関(大学等400機関、スタートアップ100社)の10万人を超えるエンジニアに高度なチップ設計ツールへのアクセスを提供し、300件を超えるチップ設計が開発されたとしています。これらは「Semicon 2.0」の成果ではなく、これまでの半導体政策・産業基盤の実績値として整理されます。

■2035年度の国内需要は2000億ドル超と予測

 さらに政府資料は、インド国内における今後の半導体市場規模に関する将来予測を示しています。

 インド国内の半導体需要について、2030年度(FY2030)には1100億ドル(約17兆円)、2035年度(FY2035)には2000億ドル(約31兆円)を超えて拡大するとの見通しを提示しました。これは政府資料で示された将来の需要見通し(予測値)であり、確定した将来実績を示すものではありません。

■過去の輸入実績と将来の機械的試算

 市場需要の予測と並んで、過去の輸入実績と将来の試算数値についても言及されています。

 資料によると、2017~25年度(FY2017~FY2025)の9年間にインドが輸入した半導体製品の累計額は約1500億ドルに達し、同期間の輸入額は年平均23%(CAGR)のペースで増加したとしています。また、仮にこの過去の増加ペース(年23%増)がそのまま継続した場合、2035年の年間輸入額が2400億ドルに達する可能性があるとの試算値も併記されています。

 なお、前述の「2035年度の国内需要予測(2000億ドル超)」と、「過去の伸び率が維持された場合の2035年年間輸入額試算(2400億ドル)」は、根拠および算出前提の異なる指標として明確に区別して扱う必要があります。

 インドの半導体政策は、製造拠点の整備に加え、装置・材料、設計、後工程、人材までを広くカバーする構造的なサプライチェーン形成の第2段階へと移行しています。今後は、「Semicon 2.0」の1兆2750億ルピーが各注力領域にどのように割り振られ、新たな製造・設計プロジェクトや関連投資へどのようにつながるかが確認点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)