国内CCS、9案件中6案件が船舶輸送 4.2万立方メートル級CO2船が基本設計承認

2026年09月16日 13:46

今回のニュースのポイント

商船三井、川崎汽船、日本郵船、日本シップヤード、MILES、三菱造船の6社は9月15日、国内CCS(CO2回収・貯留)事業での活用を想定した4万2000立方メートル級の低圧液化CO2(LCO2)輸送船について、日本海事協会(ClassNK)から基本設計承認(AiP)を取得したと発表しました。JOGMECが検討を進める「先進的CCS事業」9案件のうち6案件が船舶輸送を想定しており、CCS事業では、二酸化炭素の分離・回収や貯留に加え、貯留地点まで運ぶ輸送手段の整備も課題となっています。

本文
 商船三井、川崎汽船、日本郵船の海運3社と、日本シップヤード、MILES、三菱造船の計6社は2026年9月15日、国内のCCS(CO2回収・貯留)事業での活用を想定した4万2000立方メートル級の低圧仕様LCO2(液化二酸化炭素)輸送船について、一般財団法人日本海事協会(ClassNK)から基本設計承認(AiP)を取得したと発表しました。

 今回の対象は、6社が標準化を進めている低圧仕様42,000m³クラスのLCO2輸送船です。荷役や輸送時に想定される危険要因を抽出・評価するHAZID(Hazard Identification Study)を実施し、低温液化ガス船の運航知見を応用してリスクを検証したうえで安全設計の方針を策定しました。これをClassNKが審査し、基本設計が技術要件や安全基準を満たしていることを承認するAiPが付与されました。なお、AiPは基本設計を審査し、技術要件や安全性の基準を満たしていることを示すもので、具体的な船の建造発注や就航時期、建造隻数、建造コストが決定したことを意味するものではありません。

 6社は2025年12月より、共同設計販売会社MILESを活用した標準設計スキームを開始しています。今回のAiP取得は42,000m³クラスでのスキーム初の具体的成果であり、標準船として設計を共通化することで将来的な設計・建造プロセスの効率化を図り、国内においてLCO2輸送船を安定的に提供できる建造体制の確立を目指す方針です。

 背景には、二酸化炭素の排出地点と地下の貯留地点を結ぶ輸送手段としての船舶の役割があります。独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は2024年度から、先進的CCS事業として9案件を対象に検討を進めています。このうち3案件は国内貯留地へのパイプライン輸送、6案件は国内または海外の貯留地への船舶輸送を想定しています。船舶輸送6案件の内訳は、国内輸送が2案件、越境輸送が4案件です。分離・回収設備や地下貯留層だけでなく、大量のCO2を移動させる海上物流がCCS事業を構成する重要な要素となっています。ただし、今回6社が設計承認を受けた4.2万m³級の標準船が、JOGMEC支援の6案件に直接採用されると決まっているわけではありません。

 また、JOGMECは船舶輸送について、パイプライン輸送と比較してCO2の液化、一時貯蔵、船への出荷といった追加工程が必要となるため、輸送を含む全体のコスト低減を重要課題として挙げています。

 政府は「CCS長期ロードマップ」において2030年までのCCS事業開始を掲げているほか、2050年時点での年間貯留量として約1.2億〜2.4億トンを目安として示しています。これは将来的な国内貯留規模の推計目安であり、現在の貯留実績ではありません。一方、JOGMECの先進的CCS支援では、事業化に向けた事業性調査や設計作業、貯留ポテンシャル評価などが進められています。

 JOGMECが検討を進める先進的CCS事業9案件のうち6案件が船舶輸送を前提とする一方、海運・造船6社は国内CCSでの利用を想定した低圧LCO2輸送船の標準化を進めています。今回取得したAiPは基本設計に対する承認であり、船舶の発注や建造を決定したものではありません。今後は標準設計の具体化とともに、CCS事業側での輸送需要や案件形成の動向が注視されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)