米DOE、核関連施設に残る重要鉱物の民間活用を検討 全米5拠点でEOI

2026年09月19日 08:06

工業プラントイメージ

米エネルギー省(DOE)は、全米5カ所の核関連施設・環境浄化サイトに存在する余剰物資について、民間産業への移転・活用の可能性を探るEOIを開始した。対象には銅、白金、タングステン、水素化リチウムなど12種類が挙げられている。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

米エネルギー省(DOE)環境管理局は9月18日、全米5カ所の核関連施設・環境浄化サイトに存在する余剰の物質について、民間産業への移転可能性を探るEOI(関心表明・情報募集)を開始したと発表しました。対象物質は過去の核兵器製造や政府主導のエネルギー研究によって生じたもので、DOEの今後の活動ではもはや必要とされていない銅、白金、タングステン、バナジウム、水素化リチウムなど12種類が挙げられています。民間側による回収・処理能力や市場需要を確認する初期段階にあり、これらの物質を国内産業で活用できるかが焦点となります。

本文
 米エネルギー省(DOE)環境管理局は9月18日、かつての核兵器製造や政府支援によるエネルギー研究活動の過程で生じ、全米5カ所の核関連施設・環境浄化サイト内に保管されている余剰の重要鉱物や素材等について、民間産業への移転および商用活用の可能性を探る情報募集(EOI)を開始しました。

 今回対象となった物質は、DOEが計画する今後の活動では、もはや必要とされていない物質です。DOEはこれらの物質について、先端技術製造業、代替エネルギー、国防産業など民間の多様な分野にとって活用価値を持つ可能性があると指摘しています。冷戦期をはじめとする過去の核開発や政府支援のエネルギー研究から残された物資について、国内産業で活用できる可能性を探る取り組みとなります。

 DOEは対象物質として、アルミニウム、セシウム137、塩化物、銅、フッ素、鉛、水素化リチウム、白金、セレン、銀、タングステン、バナジウムの12種類を列挙しました。DOEはこれらを重要鉱物やその他の資材として説明していますが、提示されたリストには放射性同位体であるセシウム137なども含まれています。政府の物資をそのまま一括して売却・譲渡する単純な手続きとは異なり、物質ごとの特性に応じた適切な取り扱いが前提となります。

 今回の取り組みには、ケンタッキー州パデューカ、オハイオ州ポーツマス、テネシー州オークリッジ、ネバダ国家安全保障サイト(Nevada National Security Site)、ユタ州モアブの全米5拠点が参加します。いずれもDOE環境管理局が長期にわたり施設解体や土壌・環境の浄化事業を進めてきた拠点です。各拠点に存在する物質の具体的な種類や保管状況などの詳細情報は、EOI本体の公表資料に示されています。

 今回の募集枠組みにおいてDOEは、物質の移転や抽出を行う場合、関心を示す民間企業自身が必要な設備と専門能力を自ら用意する必要があるとしています。DOEは民間側から寄せられた回答について、示された技術的知見や、提案された利用計画の内容などに基づいて評価します。

 DOE環境管理局は9月30日にオンライン形式で「Industry Day」を開催する予定です。同イベントを通じてEOIの具体的な手続きを説明するとともに、市場においてどの程度の需要が存在するか、また民間企業が対象物質を回収・処理・利用する実務能力を備えているかについて市場対話を行います。DOE幹部は今回のEOIについて、民間部門との対話を開始するための「最初の一歩」と位置付けています。現時点では、特定企業への移転決定、売却額、具体的な回収量、事業開始時期などは決定していません。

 DOE環境管理局は37年以上にわたり、冷戦期の核兵器製造によって残された環境問題への対応を進めてきました。DOEは今回の取り組みについて、米国内のサプライチェーン強化、エネルギー自立、重要鉱物や先端製造分野での競争力維持という政策上の優先事項を支えるものと位置付けています。

 重要鉱物の安定確保が世界的な課題となる中、新たな鉱山開発だけでなく、国が保有・保管してきた過去の未利用物資を資源として再評価する動きが提示されました。冷戦期の核開発という歴史的経緯から残された物資が民間産業へ活用可能となるか、9月30日のIndustry Dayでは、市場需要や民間企業が持つ処理・回収・利用能力について、どのような情報が寄せられるかが次の確認点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)