キリンホールディングスと理化学研究所は、気候変動下で既存のワイン用ブドウ品種の品質・収量維持につながる知見の獲得を目指し、長野県上田市の実栽培環境で検証を進めている。研究は2026年4月に開始しており、暑熱・乾燥環境への適応力向上につながる可能性を探る。(画像はイメージ)
今回のニュースのポイント
キリンホールディングスと理化学研究所(理研)は、気候変動に対応したワイン用ブドウ栽培に関する共同研究を開始したと9月8日に発表しました。研究自体は2026年4月に着手しており、現在は長野県上田市にある「シャトー・メルシャン 椀子ヴィンヤード」の一部圃場(ほじょう)を使って実地検証を進めています。今回の研究目的は、現行の栽培品種における品質や収量を気候変動下でも維持するための知見獲得に置かれています。
本文
キリンホールディングスと理化学研究所は9月8日、気候変動に伴う高温化や乾燥などの環境変化に対応したワイン用ブドウ栽培の技術確立を目指し、共同研究を開始したと発表しました。
ワイン用ブドウは、栽培地域の気候、降水量、土壌条件などの自然環境から大きな影響を受ける農産物です。気候変動に伴う高温化や乾燥が進む中、対応策として灌漑(かんがい)などが検討・実施される場合がある一方、水資源が限られる地域においては農業用水の確保自体が大きな課題となります。限られた水資源を有効に活用しながら、気候変動下でも持続可能な栽培につなげる技術や知見が求められています。
こうした背景から、今回の研究では理研が保有する「植物の環境ストレス応答」に関する基礎的な研究知見と、キリンおよびメルシャンが長年蓄積してきたブドウ栽培技術・研究開発能力を組み合わせて課題解決を目指します。
研究の大きな特徴は、研究室内の制御された環境にとどまらず、実際の生産現場である長野県上田市の「シャトー・メルシャン 椀子ヴィンヤード」の一部圃場を活用している点です。2026年4月から現地での検証を進めており、気温や降水量などの条件が変動する実栽培環境下において、植物の生育状況や環境ストレスに対する応答を評価しています。
今回発表された研究の目的は、気候変動下において、現在栽培されている既存品種の品質や収量の維持に資する知見を得ることに置かれています。
事業や技術のステータスとしては、本発表はあくまで「実地環境での検証開始」を示したものであり、現時点で高温・乾燥環境への適応力向上や、少ない水での栽培成功といった成果が確認されたわけではありません。キリン側も技術の有効性や実際の農園への応用可能性については今後慎重に検討していく姿勢を示しています。
本取り組みは、理研が参画する内閣府の「研究開発とSociety 5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)」の取り組みの一環で、研究成果の社会実装に向けた実証にも位置付けられています。
気候変動への農業の対応では、作物の生育や品質だけでなく、水資源をどう利用しながら既存品種の栽培を継続するかも課題となります。実際のブドウ畑で進められる検証を通じて、既存品種の栽培維持に向けたどのような具体的データや知見が得られるのか、今後の進展が確認点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













