欧州委員会は、EU域内のデータセンターをエネルギー効率や水利用などの共通基準で評価する格付け制度とサステナビリティ・ラベルを提案。あわせて最低性能基準の導入に向けた公開協議を開始し、2027年第2四半期に立法提案を公表する予定としている。(画像は資料写真)
今回のニュースのポイント
欧州委員会は9月21日、EU域内のデータセンターについて、エネルギー効率や水利用などを共通基準で評価する「EU共通格付け制度およびサステナビリティ・ラベル」を定める委任規則案を公表しました。あわせて、データセンターの最低性能基準(Minimum Performance Standards)導入に向けた12週間の公開協議(パブリックコンサルテーション)を開始しました。公開協議は12月14日まで実施され、欧州委員会は寄せられた意見をもとに2027年第2四半期に立法提案を公表する予定です。
本文
欧州委員会は9月21日、データセンターの環境パフォーマンス向上に向けた政策パッケージを動かしました。今回の動きは、データの収集・報告を義務付ける従来の段階から、集められた報告データを共通の「物差し」で比較・格付けし、将来的な最低性能基準の設定を検討する段階へと制度を進めるものです。
具体的には、ステータスの異なる二つの措置が同時に進行しています。一つ目は具体化が進む「EU共通データセンター格付け制度」です。欧州委員会は9月21日、事業者の報告データから電子的なサステナビリティ・ラベルを自動生成し、施設のパフォーマンスを識別する委任規則案を公表・提案しました。この評価軸は単なる電力消費の削減にとどまらず、エネルギー効率、水利用効率、クリーンエネルギー利用割合、廃熱の再利用、電力系統への柔軟性(需給調整能力)など多角的な項目が含まれます。
二つ目は、制度化に向けた検討段階にある「最低性能基準」の策定です。欧州委員会は同日、12週間の公開協議と証拠募集を開始しました。意見募集の締め切りは2026年12月14日までと設定されており、欧州委員会はこの結果を踏まえて制度設計を進め、2027年第2四半期に予定する立法提案の準備作業に活用する計画です。格付けによる比較可能性を高める一方、今後は最低性能基準の必要性や具体的な内容について公開協議を通じて検討を進めることになります。
政策の前提として、EUはデータセンター能力の拡大そのものを拒否しているわけではありません。欧州委員会は公表資料の中で、AI利用などの計算需要増加に対応するデータセンターの拡張について、EUの技術主権、経済競争力、エネルギーレジリエンス、安全保障にとって不可欠なインフラであると明記しています。その一方で、急速な施設増加が電力網、CO2排出、水資源へ及ぼす負荷を課題として捉え、持続可能な運用の推進を目指しています。
EUにおける一連の制度整備を時系列で俯瞰すると、運用実態を報告させる段階から、共通基準による格付け・ラベルで性能を比較可能にし、さらに最低性能基準の導入を検討するという段階的な制度整備が進んでいることが分かります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













