25MW超データセンターに地元承認へ 米バージニア州、大口需要家の電力費負担拡大へ

2026年09月20日 14:07

データセンターイメージ

米バージニア州は、25MW超の大型データセンターに地元自治体の承認を求める方針を提示。送電・発電コストについても、データセンターなど大口需要家への負担配分を強める方向を打ち出した。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

米バージニア州のアビゲイル・スパンバーガー知事は9月18日、「データセンター責任枠組み(Data Center Accountability Framework)」を発表し、知事令(Executive Order 22)に署名しました。枠組みでは、消費電力25MW(メガワット)を超える大型データセンターについて、自動的な開発承認(by-right approval)を廃止し、立地する地元自治体による個別承認を求める方針を提示しました。同時に、送電や発電設備、電力系統(PJM Interconnection)の手続きに伴うインフラ費用について、データセンターなどの大口需要家側へより公平な割合を配分する方針を打ち出しました。知事令により直ちに実行される行政措置と、2027年州議会での法制化を目指す措置を明確に区別して運用します。

本文
 生成AI(人工知能)の普及等に伴い、膨大な電力を消費するデータセンターの建設が世界的に急増する中、全米有数の集積地である米バージニア州でインフラ費用と立地手続きをめぐる大きな転換が打ち出されました。同州のアビゲイル・スパンバーガー知事は9月18日、「データセンター責任枠組み」を公表するとともに、即時発効する知事令(Executive Order 22)に署名しました。今回の枠組みで提示された方針の大きな柱は、消費電力25MW(メガワット)を超える大型データセンターについて、自動的に建設が認められる従来の許認可方式を改め、地元の市町村や郡といった自治体による個別の審査と承認を求める仕組みへ変更することを目指す点にあります。さらに州政府機関によるデータセンター立地交渉での秘密保持契約(NDA)の禁止指示や、将来の大型案件に対する州の特例的な迅速許認可からの除外、データセンター向け助成金の廃止方針なども盛り込まれました。これは単純な建設禁止ではなく、巨大なインフラ負担を伴う大型案件に対し、地域社会の関与と審査を格段に強める方針を示したものです。

 経済的な側面において今回の枠組みが投げかける最も重要なテーマは、「データセンター増設に伴う電力インフラの費用を誰が支払うのか」というコスト負担の構造です。データセンターの増設には、単にサーバーや半導体(GPU)を置くだけでなく、高圧送電線、変電所、新設発電所、電力系統(PJM)への接続増強といった莫大な設備投資が必要となります。州政府は、住民の電気料金負担を抑えることを政策目的に掲げ、電力会社に対し、送電・発電コストのより公平な割合をデータセンターなどの大口需要家へ配分するルール設定を求める方針を打ち出しました。また、PJMの接続手続き等で発生する費用についても、需要を引き起こしたデータセンター側へ配分する方向を示しています。州政府は巨大なエネルギーインフラコストの担い手として、大口需要家側の責任と負担割合を明確化する姿勢を示しています。

 あわせて今回の枠組みでは、投機的なプロジェクトによって土地や資源、電力インフラが押さえられることを防ぐため、事業者側により強い事前の財務的コミットメントを求める方針です。また、電力需要の急激な変動による系統の不安定化を防ぐ運用基準の策定や、メーター裏側での独自ガス発電に対する制限、クリーンエネルギー調達を阻害している料金制度の改革なども提示されました。

 さらに規制の対象は、電力消費にとどまらずデータセンターというインフラ全体の環境負荷へも及んでいます。枠組みではエネルギー効率、水使用量、敷地への影響、非常用電源の規制強化などが盛り込まれました。特にバックアップ用のディーゼル発電機が地域全体で及ぼす累積的な大気影響を調査・評価し、既存・新設の施設に対してよりクリーンな非常用電源への移行を促すほか、冷却水の使用基準設定や施設から発生する騒音規制の策定加速なども示されています。

 実務上および審査上で最も注意が必要なのは、この枠組みのすべてが9月18日時点で直ちに法的規制として発効したわけではないという点です。知事令(Executive Order 22)による即時措置には、知事の監督下にある州政府機関や部局がデータセンター事業者と秘密保持契約(NDA)を締結または要求することの禁止、自治体向けの計画・住民参加ツールの作成指示、騒音規制策定の加速、ディーゼルなど非常用発電設備の調査などが含まれます。一方で、25MW超の大型案件に対する地元自治体の承認義務付けや、大口需要家への新たな費用配分構造の適用、各種補助の廃止などは、2027年の州議会へ法案として提出し、法制化を目指す計画となっています。

 最新の半導体やソフトウェアの進化に伴い、安定したメガワット級の電力を届ける送電網や発電所、さらには水資源や周辺環境との調和まで含めた総合的な社会インフラが求められています。バージニア州が打ち出した新たな枠組みは、単なる企業誘致の可否だけでなく、データセンターの拡大に伴うインフラコストを誰が負担し、地域社会が立地判断にどこまで関与するのかという課題を提示しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)