米DOE、送電網31事業で52.5億ドル規模 既存設備増強で23GW超の追加容量

2026年09月25日 08:19

送電線イメージ

米国の高圧送電網のイメージ。米エネルギー省(DOE)は26州31件のプロジェクトを選定し、既存送電線の張り替えや先進送電技術の導入によって、23GW超の追加送電容量を利用可能にする計画だ。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

米エネルギー省(DOE)は9月24日、全米26州で進められる31件の送電網改善プロジェクトを選定し、19億ドルの連邦資金によって支援する意向を発表しました。プロジェクト実施主体側のコストシェア(費用分担)33億5000万ドルと合わせ、総事業規模は52億5000万ドルとなります。約1億人の米国民に関わる送電網の信頼性向上と電力コスト削減を目指し、新設の送電回廊建設に頼らず、既存送電線の張り替えや先進送電技術の導入により23GWを超える追加の送電容量を利用可能にする計画です。

本文
 米エネルギー省(DOE)は9月24日、全米26州に及ぶ31件の送電網改善プロジェクトを支援するため、総額52億5000万ドル(約7800億円)規模の投資を後押しする意向を発表しました。この取り組みはDOEの「SPARK(Speeding Up Power Access and Reliability in Key Communities)」イニシアチブの一環として選定されたもので、「Grid Resilience and Innovation Partnerships(GRIP)」プログラムを通じて助成されます。対象となるプロジェクトは約1億人の米国民に電力を供給する送電網に影響を与え、送電網の強靱化や電力コストの低減を図る方針です。

 今回の資金計画の大きな特徴は、政府の全額拠出ではなく官民・自治体等の共同資金構造にあります。総額52億5000万ドルのうち、DOEが拠出する連邦資金は19億ドルにとどまり、残る33億5000万ドルはプロジェクト実施主体側のコストシェア(費用分担)によって手当てされます。連邦資金1ドルに対して実施主体側が約1.76ドルを負担する構造で、全体の約64%を実施主体側の費用分担が占める形となります。

 投資の主な柱となるのが、全く新しい送電回廊を一から建設する方式を抑え、既存の送電インフラの運用能力を最大限に引き出す手法です。選定された事業では、既存の鉄塔や送電ルートを活用しながら高容量の導体へ交換する「リコンダクタリング(電線張り替え)」や再構築を1500マイル(約2400キロ)超で実施します。あわせて、送電網の利用効率や柔軟性を高める「Grid-Enhancing Technologies(GETs)」と呼ばれる先進送電技術を約2万1000マイル(約3万3800キロ)にわたって導入する計画です。

 DOEは、これらの先進送電技術(ATTs)の導入と既存設備の高度化を通じて、23GW(ギガワット)を超える追加の送電容量を利用可能にできると試算しています。既存の送電用地を有効活用することで送電網の混雑解消を図り、新規送電回廊の建設に通常必要となる数十年単位の期間を回避するとしています。

 またDOEは、一連の技術導入によって山火事リスクの軽減や停電防止、激甚化する異常気象への対応を通じ、送電網の耐久性向上にもつなげるとしています。米国では電力需要の増加に対応するため送電網の容量拡大や信頼性向上が求められていますが、今回のSPARKイニシアチブは既存インフラの性能を向上させるアプローチによって電力インフラの再構築を目指す方針を示しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)