タイ、初の国家半導体戦略を承認 2050年までに2.5兆バーツ超の投資誘致

2026年09月25日 10:27

タイ政府半導体投資承認イメージ

半導体ウエハーと製造設備のイメージ。タイは初の国家半導体・先端エレクトロニクス産業戦略を承認し、2050年までに2兆5000億バーツ超の投資誘致を目指す。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

タイの国家半導体・先端エレクトロニクス政策委員会は9月24日、同国初となる「国家半導体・先端エレクトロニクス産業戦略」を正式に承認しました。2026年1月に示された戦略案を経て国家政策として確定したもので、2050年までに2兆5000億バーツ(約800億ドル=約11兆2500億円)超の国内外からの投資誘致を目指します。既存の組み立て・テスト(OSAT)分野を基盤に、IC設計やウエハー製造などの上流工程を国内に取り込み、国内一貫の半導体エコシステム構築を推進します。

本文
 タイの国家半導体・先端エレクトロニクス政策委員会は9月24日、エクニティ・ニティタンプラパート副首相兼財務相が議長を務める会合において、同国初となる「国家半導体・先端エレクトロニクス産業戦略」を正式承認したと発表しました。タイ政府は2026年1月開催の同委員会において同戦略案の基本構想を審議していましたが、今回の決定により国家戦略として正式に発足する段階へ進みました。

 今回承認された戦略では、2030年、2040年、2050年の3段階のロードマップが提示されています。政策的な長期投資誘致目標として、最初の5年間で5000億バーツ、2050年までに累計2兆5000億バーツ(約800億ドル)超の投資を国内外から呼び込む計画です。これにより2050年までに年間約1500億ドル規模の産業収入を創出し、23万人超の新規雇用(new jobs)を追加創出することを目指します。これらの金額はタイ政府の直接的な歳出予算ではなく、民間および外資から引き出す投資呼び込みの目標値として整理されています。

 タイはすでに半導体の後工程である組み立て・テスト(OSAT)やプリント基板(PCB)製造などの産業基盤を有しています。タイ投資委員会(BOI)によると、2023年から2026年上半期までに半導体および先端エレクトロニクス分野で879件、総額約9090億バーツの投資奨励申請を受理しており、こうした既存の申請実績と産業集積を足場に、IC設計(Design)やウエハー製造(Wafer Fabrication)といった上流工程の製造能力を国内に誘致・育成する方針を掲げました。最終的に「Made in Thailand chip initiative」として、設計から製造、後工程までを結ぶ一貫した半導体サプライチェーンの構築を図ります。

 正式承認された戦略では、タイの産業基盤や世界需要との親和性を踏まえ、「フォトニクス」「パワー半導体」「センサー」の3つを重点技術プラットフォームに位置付けました。AIやデータセンター、高速通信向けのフォトニクス、EVや電力網向けのパワー半導体、自動化や自動車、医療機器向けのセンサーなど、自国の需要構造に合致した市場領域から高度化を進める方針です。

 あわせて、2030年までに高度技能者8万4900人、先端研究者約1700人を含む計8万6600人の専門人財を育成する目標も盛り込まれました。BOIは政策パッケージとして、税制優遇・補助金・低利融資、人財育成、R&D・チップ設計インフラ、水やクリーンエネルギーを含む受入インフラ、規制改革や事業許認可の円滑化などの包括的な支援体制を提示し、投資先としての優位性を高める考えです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)