豪NSW州、120億豪ドルで鉄道車両の国内生産再構築 30年計画、現地調達50%

2026年09月26日 14:27

鉄道製造イメージ

鉄道車両の製造工場のイメージ。豪ニューサウスウェールズ州政府は、120億豪ドル規模の「Future Fleet Program」を通じ、Hunter地域に州所有の製造施設を整備し、約30年間にわたる国内での鉄道車両製造につなげる計画だ。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

オーストラリアのニューサウスウェールズ(NSW)州政府は9月25日、120億豪ドル規模の「Future Fleet Program」の一環として、次世代の近郊型鉄道車両を国内で設計・製造する事業者の関心表明(EOI)募集を開始したと発表しました。Hunter地域に州所有の新たな鉄道車両製造施設を整備し、今後約30年間にわたって車両を国内生産する体制を構築します。新施設の建設で最大780人、工場および関連サプライチェーンで約550人の継続的な雇用を見込み、車両製造契約では50%の現地調達要件を求めます。

本文
 オーストラリアのニューサウスウェールズ(NSW)州政府は9月25日、同州の鉄道車両を長期間にわたり順次更新する120億豪ドル規模の鉄道車両更新・製造計画「Future Fleet Program」において、次世代近郊型車両の国内設計・製造を担う企業からの関心表明(EOI)募集を正式に開始したと発表しました。募集の締め切りは11月10日に設定されています。

 今回の計画における最大の特徴は、単発の車両購入にとどまらず、約30年間にわたる長期の需要(製造パイプライン)を創出し、Hunter地域で国内の車両製造能力と関連サプライチェーンを再構築する点にあります。具体的には、老朽化した既存車両「Tangara」を置き換える次世代近郊型車両(2030年代初頭から半ばに運行開始予定)を皮切りに、将来的には「Millennium」「OSCAR」「Waratah」といった主要車両の更新も順次組み込んでいく方針です。なお、対象となる新型車両には、次世代の信号・制御システムや高度な通信、遠隔診断、車両監視機能などの先進技術が導入される計画です。

 この長期製造体制を支える拠点として、NSW州政府はHunter地域に州所有の鉄道車両製造施設を新設します。候補地にはTeralbaの旧炭鉱跡地やBroadmeadow Locomotive Depotなどが挙げられており、州政府は年末までに最終的な立地を決定する見通しです。雇用面では、新施設の建設段階で最大780人の雇用が見込まれるほか、工場の操業と関連サプライチェーンを通じて約550人の継続的な雇用を維持・支援するとしています。

 また、産業波及効果を高めるため、新たな鉄道車両契約には50%の現地調達要件が盛り込まれます。これにより、州政府が単に完成車を購入するだけでなく、部品製造や関連サービスなどの需要を国内の産業基盤へ波及させる構造となっています。

 国内生産を担う技能者の育成に向けては、先行する既存Tangara車両の延命・修繕プログラム(Hunter地域のCardiff等で実施)において、すでに新たに100人の有資格労働者と20人の見習いを雇用しています。州政府は新工場の稼働を待つことなく、既存の保守・補修作業を通じて国内の製造技術と人材基盤を形成し、将来の車両新造へつなげる段階的なアプローチを採っています。

 なお、今回の発表は設計・製造を担う事業者のEOI募集手続きであり、現時点で製造メーカーの選定や正式な発注契約が完了したわけではありません。NSW州政府は大規模な公共調達の枠組みを活用し、国内製造業の再構築を目指しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)