豪Hysata、水電解装置の商業量産に9800万豪ドル 年50MW、最大200MWへ拡張可能

2026年09月21日 17:34

組み立てラインイメージ

豪Hysataは、ニューサウスウェールズ州ポートケンブラに年間50MW相当の水電解装置製造ラインを構築する。総事業費は9800万豪ドルで、ARENAが最大4900万豪ドルを支援。需要拡大に応じた24時間操業により、年間最大200MWまで拡張できる設計とする。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

オーストラリア再生可能エネルギー庁(ARENA)は9月18日、水素製造用電解装置の開発を手掛ける新興企業Hysata(ハイサタ)の商業量産プロジェクトに対し、最大4900万豪ドル(約48億円)の資金を支援すると発表しました。プロジェクトの総事業費は9800万豪ドルとなります。ニューサウスウェールズ州ポートケンブラに年間50MW相当の水電解装置の製造ラインを構築し、需要の拡大に応じた24時間操業により年間最大200MWまで拡張できる設計とします。膜、アノード、カソードなどの中核部品も豪州国内で製造する計画です。

本文
 オーストラリア政府が、水素そのものの生産だけでなく、水素を製造するためのコア機器を国内で量産する高度製造業の構築へ踏み出しました。オーストラリア再生可能エネルギー庁(ARENA)が9月18日に公表した資料によると、豪州の水素技術開発企業Hysata(ハイサタ)が進める水電解装置の商業製造ライン整備プロジェクトに対し、「Future Made in Australia Innovation Fund」を通じて最大4900万豪ドルの公的資金を拠出することが決定しました。本プロジェクトの総事業費は9800万豪ドルとなります。

 産業・製造技術の観点から重要なのは、本プロジェクトが、これまで開発してきた技術を商業規模の製造へ移行させる点です。製造拠点はニューサウスウェールズ州のポートケンブラ(Port Kembla)に設置されます。同拠点では年間50メガワット(MW)相当の水電解装置の製造ラインを構築し、需要の拡大に応じて24時間操業を行うことで年間最大200メガワットまで生産能力を拡張できる設計を採用しています。

 本事業では、完成した電解装置の製造に加え、中核部品の国内製造も計画されています。Hysataは完成品である水電解装置の組み立てに加え、電解反応を左右する核心部材である「膜(membrane)」「アノード(陽極)」「カソード(陰極)」についても、豪州国内の拠点において直接製造する計画を掲げています。ARENAは、中核部品の国内製造によって、豪州の製造能力やクリーンエネルギー関連のサプライチェーンを支えると説明しています。

 本商業生産ラインの稼働に伴い、Hysataは製造、エンジニアリング、技術職などの領域において約40人の直接的な新規雇用を創出する見通しです。同社は設立以来、段階的に研究開発を進めており、これまでに国内外の投資家から累計2億2000万豪ドルを超える民間資本を調達してきました。今回の9800万豪ドル規模のプロジェクトでは、これまで開発してきた技術を商業規模の製造へ移行させます。

 なお、ARENAの既存プロジェクト資料では、Hysataの毛細管給水式電解装置(CFE)について、システム効率を95%と説明しています。同資料では既存の商用電解装置を75%として比較しています。ただし、これは今回の9800万豪ドルのプロジェクトで新たに確認された性能値ではありません。

 今回の豪州政府による支援は、水素プラントの建設補助ではなく、水素製造用の電解装置を豪州国内で商業規模で製造する能力を整えるプロジェクトとなります。新製造ラインの稼働開始時期や実際の出荷スケジュールのほか、年間50メガワットから最大200メガワットへの生産能力拡張がどの段階で進められるかが今後の確認点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)