ロールス・ロイス、英国5拠点に3億ポンド投資 タービンブレード生産を2030年までに倍増

2026年09月29日 07:44

タービンプレートイメージ

航空エンジンに使われるタービンブレードの精密製造現場のイメージ。ロールス・ロイスは英国5拠点に総額3億ポンドを投資し、ロザラムでは先進タービンブレードの生産量を2030年までに倍増する計画だ(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

英ロールス・ロイスは9月28日、英国の製造・エンジニアリング施設に総額3億ポンドを投資すると発表しました。対象はダービー、ブリストル、インチナン、ロザラム、アンスティの国内5拠点です。民間航空および防衛分野における需要拡大に対応するため、製造能力、技術開発基盤、整備(MRO)能力を総合的に強化します。ロザラム拠点では先進タービンブレードの生産量を2030年までに倍増させ、防衛拠点ブリストルには9000万ポンド超を投じて整備・修理・オーバーホール(MRO)基盤などを拡充します。

本文
 英国の航空・防衛大手ロールス・ロイスは9月28日、同国内の製造およびエンジニアリング施設に対し、総額3億ポンドを投資すると発表しました。民間航空機向けエンジンの需要増加や防衛分野の需要拡大に対応するため、国内の製造能力、技術開発基盤、整備能力を拡充します。同社は2023年の経営変革プログラム開始以降、英国で30億ポンド超を投資してきたとしており、今回さらに3億ポンド規模の投資計画を取りまとめました。

 最大の投資先となるのは、大型民間航空機向け「Trent」エンジンの開発・製造を中心的に担うダービー拠点です。1億4000万ポンド超を投入し、新たなエンジニアリング・製造サービス施設を構築するとともにアフターマーケット支援体制を強化します。新施設の完成は2028年を予定しています。英国政府によると、この投資はダービー拠点で働く1万人超の既存雇用を支えるものとなります。

 防衛事業の核であるブリストル拠点には9000万ポンド超を投じ、2031年の完成に向けて大規模な施設更新を実施します。新たな共同作業スペースやITインフラを整備するほか、MRO(整備・修理・オーバーホール)能力を引き上げます。同拠点は艦艇用ガスタービン「MT30」やユーロファイター・タイフーン用エンジン「EJ200」、さらには日本、英国、イタリアによる次期戦闘機計画「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」にも関わっており、約3500人の雇用基盤を支えます。

 生産能力の具体的な増強策として注目されるのが、ロザラム拠点におけるAdvanced Blade Casting Facilityへの投資です。同社は1900万ポンドを投じ、South Yorkshire Mayoral Combined Authorityからさらに200万ポンドの支援を受け、施設の能力と生産性を高めます。これにより、ジェットエンジンの重要部品である先進タービンブレードの生産量を2030年までに現在の2倍へ引き上げます。

 このほか、スコットランドのグラスゴー近郊にあるインチナン拠点には4300万ポンドを投じて最新の部品加工機械を導入し、ウォリックシャーのアンスティ拠点にも500万ポンドを投じて生産設備を更新・高効率化します。ロールス・ロイスは、2025年に英国のサプライヤーから28億ポンド超の調達を行っており、今回の設備投資が国内の数百社におよぶエンジニアリング企業や部品メーカー、中小企業に対して複数年にわたる安定性をもたらすとしています。

 英国政府も同日、AIやテクノロジー、防衛、クリーンエネルギーなどの成長分野を支援し、National Wealth Fundの既存資本を活用して2030年までに国内でさらに13万人の雇用を創出・支援する方針を発表しました。ロールス・ロイスの今回の投資は、英国国内の航空・防衛分野で製造、エンジニアリング、MROなどの基盤を増強する具体的な民間投資となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)