欧州連合(EU)が共同で進める防衛能力強化のイメージ。EU理事会は初の「欧州共通利益防衛プロジェクト(EDPCI)」5件を承認し、ドローン・対ドローン、海洋・海底、宇宙、統合防空・ミサイル防衛、東部国境防護を対象とする(画像はイメージ)
今回のニュースのポイント
EU理事会は9月28日、欧州防衛産業計画(EDIP)の枠組みに基づき、初となる「欧州共通利益防衛プロジェクト(EDPCI)」5件を正式に承認したと発表しました。対象分野はドローン・対ドローン、海洋・海底防衛、宇宙防衛、統合防空・ミサイル防衛、欧州東部国境の防護の5領域です。加盟国が共同で大規模な防衛能力を構築する取り組みで、承認された事業はEDIPを通じたEU資金を受ける資格を得ました。
本文
EU理事会は9月28日、欧州防衛産業計画(European Defence Industry Programme, EDIP)の下で推進する初の「欧州共通利益防衛プロジェクト(EDPCI)」として、提案されていた5つの共同防衛事業を正式に承認しました。EDPCIは2025年にEDIPの制度化に伴い導入された仕組みで、単一の加盟国では規模や複雑性の面から取り組むことが難しい大規模な防衛能力の開発を、複数国の共同プロジェクトとして進めることを目的としています。
今回の正式承認に至るプロセスとして、欧州委員会は2026年2月16日に公募を開始し、加盟国側から計9件の提案を受領しました。その中から欧州委員会が7月3日に5件をEDPCIとして指定するよう理事会に提案しており、今回のEU理事会による採択を経て正式な承認決定となりました。
承認された5事業は、いずれも複数領域にまたがる高度な防衛能力の構築を目指しています。ドローン・対ドローン分野の「DECODER」は、無人機の運用能力と敵対的ドローンを探知・阻止する能力を欧州域内で拡充・配備します。海洋・海底防衛の「IMSD」は、海上および海底における脅威の探知・抑止に向けた相互運用可能な統合システムを整備します。
宇宙分野の「SPACE」は、早期警戒、衛星通信、ISR(情報・監視・偵察)、測位・航法を包含するほか、緊急時の代替衛星の迅速な打ち上げ能力も対象とします。さらに、統合防空・ミサイル防衛の「EU-FIAMD」が早期警戒や統合指揮能力の構築を担い、「Eastern Flank Watch(EFW)」は陸・空・海・サイバーなど複数領域を対象に、参加国の東部国境沿いの安全保障と領土防護能力を強化します。
経済および産業政策の観点において、今回の正式承認によってこれら5事業はEDIPを通じたEU資金を受ける資格を得ました。EU理事会は、EDIP資金を通じて各プロジェクトの初期配備(initial deployment)段階を支援できるとしています。また、将来的に創設が検討されている「欧州競争力基金(European Competitiveness Fund)」からの追加支援を受ける可能性も示されています。
なお、今回の発表資料では、5事業それぞれの総事業費やEUによる具体的な助成額、参画する企業名や受注額、装備の調達数量などは公表されていません。EUの防衛産業政策は、共同防衛能力の構築を具体的な5つの産業プロジェクトとして推進する段階に入っています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













