ドイツの2026年CO2差額契約には、化学、金属、セメントなどのエネルギー多消費産業から21件が応札し、申請された支援額は50億ユーロの入札枠を大幅に上回った。今回からCCU/CCSを利用する案件も支援対象に加わった。(画像はイメージ)
今回のニュースのポイント
ドイツ連邦経済・エネルギー省(BMWE)は9月18日、エネルギー多消費型産業の低炭素生産への転換を支援する2026年「CO2差額契約(CCfD/Klimaschutzverträge)」の入札受付結果を発表しました。9月9日の締め切りまでに21件の応札(Gebote)があり、企業側が申請した支援要求額は総額50億ユーロ(約8100億円)の募集枠を「大幅に上回った」としています。対象は化学、金属、セメント、紙・パルプなど多岐に渡り、電化や水素利用に加え、今回からCCU/CCS(CO2回収・利用・貯留)を伴う技術提案も初参加しました。BMWEは提出された申請を審査し、2026年末までに採択案件を決定する予定です。
本文
ドイツのエネルギー多消費産業から、低炭素型の生産設備・工程への転換を対象とする支援申請が相次ぎました。ドイツ連邦経済・エネルギー省(BMWE)が9月18日に公表した資料によると、2026年「CO2差額契約(CCfD)」の入札に対し、9月9日の締め切りまでに計21件の応札があったことが明らかになりました。今回の入札枠として用意された最大50億ユーロの公的支援枠に対し、企業側が求めた支援総額は枠を「大幅に上回った」と公表されています。現段階では21件の応募案件が提示された状況であり、BMWEによる審査を経て2026年末までに支援対象が選定される見通しです。
今回の制度は、EU排出量取引制度(EU-ETS1)の対象となるエネルギー多消費型製造業を直接の対象としています。BMWEが提示した応札業種には、化学、ガラス・セラミックス、石膏、石灰、金属、パルプ・紙、セメントといった、生産工程で多大なエネルギーを消費する中核産業が含まれています。従来の生産方式からCO2排出を抑えた生産方式へ切り替える際、企業が直面する追加コストを支援する仕組みです。
技術面では、生産プロセスの直接電化やグリーン水素の活用提案に加え、CO2回収・利用・貯留(CCU/CCS)技術を用いる案件が初めて入札に参加しました。これは2025年11月に改正施行されたドイツのCO2貯留・輸送法(KSpTG)を踏まえたもので、プロセス上CO2の排出回避が極めて困難なセメントや石灰製造などの領域での活用が見込まれています。応札案件には、電化、水素、CCU/CCSと複数の脱炭素技術が含まれています。
CO2差額契約(CCfD)とは、低炭素型の生産方式が従来型方式と比較して高コストとなる差額分について、CO2価格やエネルギー価格の変動に応じて最大15年間にわたる長期契約で補填する支援制度です。工場建設などの初期設備投資(CAPEX)補助にとどまらず、稼働後の運営費用(OPEX)の変動リスクもカバーすることで、企業の長期投資判断を支える設計となっています。
2026年の制度設計では、企業の参加ハードルを見直しつつ技術的中立性を高める変更が加えられました。支援対象案件には、従来型生産工程と比較して4年目までに少なくとも50%、契約最終年までに少なくとも85%のCO2排出削減を達成することが課されます。前回の2024年入札条件(3年後60%、最終年90%)から基準が調整されたほか、産業用蒸気の供給案件やCCU/CCSの適用も新たに認められ、より柔軟な設備転換に対応しています。
BMWEは今後、提出された21件の応札内容を精査し、「pay-as-bid」方式で50億ユーロの支援枠を使い切るまで採択します。制度は、できるだけ少ない公的資金で大きな温室効果ガス削減を実現できる案件を選ぶことを目的としており、2026年末までに選定案件への採択を行う予定です。50億ユーロの入札枠を大幅に上回る支援申請が、エネルギー多消費型製造業から出たことで、限られた公的支援枠をめぐる競争の中で、どの産業・技術の案件が採択されるかが今後の焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













