米DOE、次世代鉱山技術17件を選定 2950万ドル支援へ、AI選鉱や地下リチウム回収

2026年10月01日 13:48

探査ローバーイメージ

米DOEは、AIやロボットによる地下探査・選鉱、地下リチウム回収など次世代鉱業技術17件を、総額2950万ドルの資金支援に向けた交渉対象として選定した(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

米エネルギー省(DOE)のOffice of Critical Minerals and Energy Innovation(CMEI)は9月30日、米国内の鉱業技術を高度化する17件の国立研究所プロジェクトを、総額2950万ドル(約46億円)の資金支援に向けた交渉対象として選定したと発表しました。DOEの「Mine of the Future Initiative(未来の鉱山イニシアチブ)」の一環として実施されるもので、AIやロボットを活用した地下探査や選鉱技術から、地下粘土層からのリチウム回収、鉱山尾鉱からの重要鉱物抽出、老朽化した油井・ガス井を活用した資源回収まで、先進技術開発を多角的に支援します。

本文
 米エネルギー省(DOE)の下部組織であるCritical Minerals and Energy Innovation(CMEI)は9月30日、米国の国立研究所が推進する17件の次世代鉱業技術開発プロジェクトを、総額2950万ドルの連邦資金支援に向けた交渉対象に選定したと発表しました。本施策は、探査から採掘、選鉱、処理にいたる全プロセスを高度化し、米国内における重要鉱物および材料の供給網を増強することを目的としています。なお、今回の発表は資金支援に向けた交渉対象の選定(selected for award negotiations)であり、17件への資金交付が完了したことを示すものではありません。今回の発表では、各プロジェクトへの個別支援額は示されていません。

 選定プロジェクトでは、AIや自律型ロボットを主軸とした自動探査・選鉱技術の高度化が盛り込まれています。オークリッジ国立研究所(ORNL)が進める「MAP-POD」プロジェクトでは、移動ロボットに3Dスキャナー、ハイパースペクトルセンサー、AIを搭載したシステムを開発します。手作業による従来調査では数日から数週間を要していた地下鉱山のマッピングや鉱物特定を、数分程度で行う技術の開発を進めます。

 また、抽出プロセスの効率化を目指した革新技術も支援対象に選定されています。ローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)の「NOREX」プロジェクトでは、核センシング技術とAIを組み合わせ、岩石の組成を直接測定して、鉱物をより効率的に選別する技術を開発します。さらに同研究所では、鉱石を地上へ大量に搬出して処理する方式とは異なる、破砕された地下粘土層内部で電気化学反応を利用してリチウムを取り出す地下回収(in-situ回収)技術の研究も進められます。

 新たな鉱床の探査にとどまらず、既存の副産物や廃棄物から高付加価値資源を回収するサーキュラー技術も重視されています。アーゴンヌ国立研究所(ANL)のプロジェクトでは、低品位の鉱山尾鉱から銅、ニッケル、コバルトを迅速かつ選択的に回収する連続プロセスの開発・試験を行います。くわえて、SLAC国立加速器研究所が進めるプロジェクトのように、老朽化した非在来型の油井・ガス井を活用し、バナジウムなどの重要鉱物の回収量を高める技術開発も含まれます。

 今回の選定は、米国政府が進める重要鉱物・材料確保に向けた戦略を技術基盤の側面から補強する狙いがあります。今回の17件では、探査・選別技術の高度化、鉱山尾鉱などからの資源回収、既存インフラの活用といった多様な技術開発を通じて、米国内の鉱業能力の拡大・高度化を目指します。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)