英国、洋上風力・送電網の重要部品を支援対象に 3億ポンド基金、12品目から29品目へ 

2026年10月04日 09:07

画・洋上風力発電、1計画で原発1基分。法整備により2030年には9200億円市場に成長と予測。

洋上風力発電を支える供給網では、風車だけでなく発電機やギアボックス、電力変換設備など多くの部品が必要となる。英国のGreat British Energyは、3億ポンドの基金で支援する重要部品を12品目から29品目へ拡大した(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

英国のGreat British Energyは10月2日、洋上風力および電力ネットワーク向けサプライチェーン支援基金「Supply Chain Fund: Offshore Wind and Networks」(総額3億ポンド)について、助成対象となる重要部品を12品目から29品目へ大幅拡大したと発表しました。追加された17品目には、洋上風力の基礎構造に使われるジャケット、発電機、ギアボックス、パワーコンバーターのほか、送電網向けのHVブッシング、コンバーターバルブ、HVDC(高圧直流送電)変換所やHVAC(高圧交流送電)変電所向け部品などが含まれます。供給制約のある部品の国内製造能力への投資を促す狙いです。

本文
 再生可能エネルギー設備や送電網を拡大しようとするとき、実務上の課題となるのは何でしょうか。英国政府が新たに焦点を当てているのは、大型プロジェクトの建設そのものだけでなく、それらを構成する「供給制約のある重要部品」の製造能力です。

 英国政府系のGreat British Energyは10月2日、洋上風力および電力ネットワーク向けのサプライチェーン基金「Supply Chain Fund: Offshore Wind and Networks」について、支援対象となる重要部品(Critical Components)を従来の12品目から29品目へ拡大したと発表しました。

 この基金は総額3億ポンドの規模を持ち、英国のクリーンエネルギー供給網を強化する10億ポンド枠の包括プログラム「Energy Engineered in the UK」の主要部分を構成するものです。

 今回新たに追加された17品目は、産業界からのフィードバックや市場情報を踏まえて選定されました。洋上風力分野では基礎構造に使われるジャケットのほか、発電機、ギアボックス、パワーコンバーターなどが追加され、電力ネットワーク分野ではHVブッシング、コンバーターバルブ、HVDC変換所やHVAC変電所向けの各種部品が指定されました。

 大型インフラだけでなく、発電機やギアボックス、電力変換装置など、サプライチェーンのより深い階層にある専門部品まで支援対象を広げ、複数の階層に存在する供給制約(constraints at multiple levels)に対応し、国内の製造能力への投資を促す構造になっています。

 さらに今回の取り組みで注目されるのは、支援対象の部品リストを固定しない柔軟な仕組みです。Great British Energyは新たな情報提供プロセス(Additional Critical Components submission process)を導入し、メーカーや業界団体から「どの部品に供給制約が生じているか」に関する証拠や市場情報を受け付けます。市場環境の変化や新たな制約の発生に応じて、対象リストを今後も動的に見直す方針です。

 現在、この基金の第4ラウンドの募集が開始されており、申請期限は2026年12月10日17時(GMT)に設定されています。これに合わせて助成率などの最新ガイダンスも更新されました。

 クリーンエネルギーの導入目標を掲げるだけでなく、それを実現するために必要な部品の国内製造能力、技術、雇用までを自国に取り込もうとする英国。補助金や税制といった大枠の制度にとどまらず、市場情報に基づいて供給制約のある部品を特定し、支援対象を継続的に見直していく仕組みは、エネルギー政策と製造業政策を接続する取り組みといえます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)