中国・台湾産ステンレス鋼板に最大42.1%の不当廉売関税 政府が5年間の課税を正式決定

2026年10月27日 16:53

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財務省。政府は2026年10月27日、中国・台湾産のニッケル系ステンレス冷延鋼帯・冷延鋼板に対し、最大42.1%の不当廉売関税を5年間課す政令を閣議決定しました。7月からの暫定措置と同じ税率で、10月31日から確定措置を適用する予定です。(資料写真)

今回のニュースのポイント

政府は2026年10月27日、中国・台湾産のニッケル系ステンレス冷延鋼帯・冷延鋼板に対する不当廉売関税を、5年間の確定措置として課す政令を閣議決定しました。税率は生産者によって異なり、中国産は原則42.1%、台湾産は原則20.1%です。指定生産者にはそれぞれ27.7%、3.6%を適用します。2026年7月からの暫定措置と同じ税率で、10月31日から2031年10月30日まで適用する予定です。政府は不当廉売輸入による国内産業への実質的な損害を認定しています。

本文
 政府は2026年10月27日、中国および台湾から輸入されるニッケル系ステンレス冷延鋼帯および冷延鋼板に対し、不当廉売関税(アンチダンピング関税)を5年間にわたり課す政令を閣議決定しました。税率は3.6%から最大42.1%で、政令は10月30日に公布され、10月31日から2031年10月30日までの5年間にわたって適用される予定です。今回の閣議決定は、2026年7月から実施されてきた暫定的な課税措置を本措置である確定措置へと正式に移行させるものであり、国内の基幹素材産業を不公正な輸入から保護する通商救済策が長期的な枠組みに入ることになります。

 適用される不当廉売関税率は、一般の関税とは別に追加で課されるものであり、供給国・地域や生産者ごとに区分されています。中国産については原則として42.1%が適用されますが、指定された生産者5社の製品については27.7%となります。また、台湾産については原則として20.1%が課される一方、指定生産者6社の製品には3.6%の税率が適用されます。すべての中国産品や台湾産品に一律の税率が適用されるわけではなく、生産者ごとに異なる税率が定められています。

 今回の確定措置に至る手続きは、国内産業の保護を求める正式な要請から始まりました。2025年5月12日に国内生産者の連名で課税申請書が提出され、財務省と経済産業省は同年7月22日に合同調査を開始しました。調査当局による「仮の決定」を経て、2026年7月9日からは3.6%~42.1%の暫定措置が先行して発動されていました。その後、関税・外国為替等審議会が2026年10月19日に「5年間の課税が適当」と答申し、10月27日の閣議決定に至りました。税率は暫定措置と同率であり、今回の決定で税率が新たに引き上げられたわけではありません。

 政府が長期の確定措置に踏み切った背景には、法定の課税要件が揃ったことがあります。調査当局は、2024年1月~12月を対象とした不当廉売輸入の事実と、2022年1月~2024年12月を対象とした国内産業への実質的な損害の双方を認定しました。調査期間中には、中国や台湾の供給者および輸入者から、市場経済性の評価や製品分類、代替性の有無などを巡る様々な反論が提出されましたが、調査当局は提出証拠を精査した結果、仮の決定で示した損害や因果関係の判断を変更する必要はないと結論付けました。

 課税対象となったニッケル系ステンレス冷延鋼帯・冷延鋼板は、鉄に10.5%以上のクロムを含有し、全重量の0.6%を超えるニッケルを含む合金鋼です。鋼材そのものが備える高い耐食性や加工性に加え、美麗で清潔感のある表面意匠を兼ね備えている点が特徴です。その用途は多岐にわたり、建築分野の屋内配管、家電・精密機器分野の食器洗い機、厨房・家庭用機器の洋食器、輸送機器の鉄道車両、各種産業機器など、幅広い分野で基礎資材として使われています。関税の対象はこれら完成品ではなく、素材としての冷延鋼板や鋼帯です。

 国内では、日本製鉄、日本冶金工業、ナス鋼帯、日本金属を含む7者が対象鋼材の生産を担っています。経済産業省は、同産業を国内製造業の基盤を支える重要分野と位置付けており、高品質な基礎資材の安定供給が川下産業の国際競争力に関わるとしています。他方で、対象鋼材は多くの国内製造業者によって日常的に調達されている基礎素材でもあります。このため経済産業省は、課税に伴う影響を注視し、調達や製造に関わる国内需要家や利用事業者を対象とした専用の相談窓口を設けて対応にあたっています。

 2026年7月から運用されてきた暫定関税は、10月31日をもって5年間の確定措置へと引き継がれます。これにより、不当廉売された輸入鋼材によって損害を受けてきた国内素材メーカーにとっては、公正な競争環境のもとで生産基盤を維持するための対抗措置が中長期にわたり確保されることになります。一方で、対象鋼材は幅広い産業の原材料であるため、利用企業における調達条件やサプライチェーンのあり方にも影響を及ぼし得ます。国内の素材生産基盤の保護と、これを利用する加工・製造企業の調達環境という二面性を持つ通商措置として、5年間の適用期間に入ります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)