HOYA、中間営業益32%増の1734億円 AI半導体材料とHDD基板がけん引、情報・通信の7~9月利益率55%

2026年10月30日 17:43

今回のニュースのポイント

HOYAの2027年3月期中間決算は、売上収益が前年同期比13.4%増の5,158億円、営業利益が同31.6%増の1,734億円となりました。AIデータセンター需要を背景にEUVマスクブランクスやHDDガラス基板が急拡大し、情報・通信事業の7~9月期利益率は55.1%に達しました。一方、内視鏡事業は米国や中国で苦戦が続いています。通期売上収益予想は1兆430億円を初公表(利益予想は未公表)し、中間配当は160円に決定しました。

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 HOYAが2026年10月30日に発表した2027年3月期中間連結決算(IFRS)は、売上収益が前年同期比13.4%増の5,158億95百万円、営業利益が同31.6%増の1,734億31百万円となりました。税引前利益は同27.5%増の1,775億86百万円、親会社所有者帰属中間利益は同27.3%増の1,365億円でした。同社は今期から新会計基準「IFRS第18号」を早期適用しており、前年同期の営業利益も遡及修正されています。非経常的損益等を調整した独自の「通常の営業活動からの利益」は同25.9%増の1,717億21百万円(利益率33.3%)となりました。AIデータセンター向けの半導体材料や大容量HDD用部材が業績をけん引しました。

 収益拡大の中心となったのは情報・通信事業です。中間期の売上収益は前年同期比23.1%増の2,077億41百万円、セグメント利益(通常の営業活動からの利益)は同27.9%増の1,144億51百万円に達しました。直近の7~9月期単独でも売上収益は約1,068億円、セグメント利益は約588億円となり、セグメント利益率は55.1%と高水準を記録しました。AI需要を背景に、先端半導体の露光工程で使われるEUV向けマスクブランクスの7~9月期売上が前年同期比20%増と好調に推移しました。低欠陥品や位相シフトマスク(PSM)など、高付加価値EUVマスクブランクスの販売拡大が高収益を支えています。

 さらに、AIデータセンター投資の拡大は大容量データ保存を担うHDD用ガラス基板の需要も大きく押し上げました。7~9月期のHDD基板関連売上は前年同期比32%増と急伸しました。ニアラインHDD向け3.5インチ基板の販売数量が増加したほか、熱アシスト磁気記録(HAMR)採用製品に加え、非HAMR製品でも記録容量拡大に伴うガラス基板の多枚数化が進んでいます。HDD各社からの需要予測引き上げを受け、同社は既存工場の増産を進めるとともに、将来に向けた能力増強の前倒しを検討しています。

 一方、全社売上の約6割を占めるライフケア事業は収益性の改善が進んだものの、製品群ごとに明暗が分かれました。中間期の売上収益は前年同期比8.5%増の3,081億54百万円、セグメント利益は同24.8%増の625億69百万円となりました。7~9月期の利益率は21.2%と前年同期の17.6%から3.6ポイント改善しました。メガネレンズでは近視進行抑制レンズ「MiYOSMART」が伸長し、眼内レンズも高付加価値品が伸びました。しかし、医療用内視鏡は中国市場の縮小や米国での販売低迷により、7~9月期の売上が前年同期比10%減と苦戦しました。

 同社は今回、通期売上収益予想について前期比10.1%増の1兆430億円と初めて公表しました。売上収益の増加見込みが開示基準に達したため売上予想のみを公表したもので、通期の利益予想は依然として未公表です。配当方針については、中間配当を前年同期実績(125円)から35円増額となる1株当たり160円と決定しました。なお、期末配当予想および年間配当予想は資金需要を見極めるため未定としています。

 資金面では、中間期の営業CFが1,581億89百万円の収入となり、フリーキャッシュフローも1,357億6百万円の黒字を確保しました。HOYAの今回の決算は、生成AIの普及を追い風にEUVマスクブランクスとHDDガラス基板の双方が急成長し、利益率55%を超える情報・通信事業が全社業績を力強くけん引する構造を示しました。その一方で、ライフケア事業では内視鏡の立て直しなど地域的・構造的な課題も抱えており、成長分野の拡大と医療機器事業の再構築が今後の焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)