今回のニュースのポイント
TDKの2027年3月期中間決算は、売上高が前年同期比31.9%増の1兆5,605億円、営業利益が同41.0%増の2,081億円となり、中間期としての過去最高を更新しました。AIデータセンター向けHDD部品やコンデンサが好調で、通期営業利益予想を700億円引き上げ3,650億円へ上方修正しました。一方、営業増益には円安による約199億円の押し上げが含まれます。中間期は運転資本の増加などで営業キャッシュフローが減少し、通期FCF予想も500億円の赤字へ下方修正されました。
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TDKが2026年10月30日に発表した2027年3月期中間連結決算(IFRS)は、売上高が前年同期比31.9%増の1兆5,605億79百万円、営業利益が同41.0%増の2,081億56百万円となりました。税引前利益は同44.5%増の2,130億82百万円、親会社の所有者に帰属する中間利益は同58.4%増の1,764億21百万円に達し、売上高およびすべての段階利益で中間期としての過去最高を更新しました。AIデータセンター向け電子部品需要の急拡大を受け、通期の営業利益予想を従来の2,950億円から3,650億円へと700億円上方修正しました。
収益拡大を力強くけん引したのは、AIデータセンター向けの記録・受動部品です。磁気応用製品セグメントの売上高は前年同期比52.8%増の1,769億円、営業利益は同178.1%増(約2.8倍)の331億円と急伸しました。AIサーバーのデータ蓄積を担う大容量ニアラインHDD向けに、HDDヘッドやサスペンションの販売が急増し、第2四半期単独の同事業営業利益率は24.7%に達しました。受動部品セグメントもAIデータセンター向けセラミックコンデンサやアルミ電解・フィルムコンデンサなどの販売が伸び、売上高は同25.3%増の3,580億円、営業利益は同167.9%増の396億円を記録しました。
一方、主力の最終市場であるスマートフォンなどのICT分野では減速がみられます。メモリ価格高騰や需要逼迫に伴う端末生産台数の減少により、スマートフォン向け小型二次電池の販売数量は減少しました。それでも新製品の販売効果により、エナジー応用製品セグメント全体では売上高が前年同期比33.9%増の8,677億円、営業利益が同9.1%増の1,501億円と増収増益を確保しました。ただし、売上高の3割強の伸びに対し営業利益の伸びは1桁にとどまり、高採算のAI向け部品群とは対照的な推移となっています。
好調な中間実績を踏まえ、同社は2027年3月期の通期連結業績予想を上方修正しました。売上高は4月公表の従来予想比4,700億円増の3兆500億円(前期比21.8%増)、営業利益は同700億円増の3,650億円(前期比34.0%増)、税引前利益は同700億円増の3,700億円、親会社帰属当期利益は同550億円増の2,800億円(前期比43.1%増)を見込んでいます。年間配当予想も従来予想の40円から10円増額し、1株当たり50円(中間配当25円決定、期末配当予想25円)へ引き上げました。前期実績の36円に対しても14円の増配となる計画です。
大幅な増益決算となった一方、為替効果と資金収支には留意が必要です。中間期の平均為替レートは1ドル=159円41銭と前年同期比で約13円の円安が進み、営業利益を約199億円押し上げました。営業増益額約605億円の約3分の1が為替要因です。また、キャッシュフロー面では負担が先行しています。中間期の営業活動によるキャッシュフローは運転資本の増加等により786億円(前年同期は1,894億円)へ縮小し、フリーキャッシュフロー(FCF)は230億円の赤字に転落しました。通期FCF予想も従来の600億円の黒字から500億円の赤字へ1,100億円下方修正されました。
将来に向けてはAI需要を取り込む設備投資を加速しています。AI半導体向け薄膜インダクタに約400億円、次世代の「フィジカルAI」向け磁気センサに約1,000億円の投資計画を進めています。TDKはスマートフォン向け二次電池に加え、AIデータセンターの記録・電源関連部品などへ収益機会を広げています。ただし、増益には円安の寄与もあります。中間期は運転資本の増加が営業キャッシュフローを圧迫し、通期FCFも赤字予想となりました。収益拡大と現金創出力をいかに両立させるかが、今回の決算から浮かぶ経営課題です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













