今回のニュースのポイント
Googleの検索広告事業が2026年第3四半期に前年比約12%増と伸長する一方、Redditは米国の非ログイン利用者数が減少したほか、検索経由の流入減少も報告しました。検索画面上で回答を提示するAI機能の普及により、外部サイトへのクリックが減る可能性が注目されています。第三者調査によるクリック率低下とGoogle側のクリック総量安定という主張の双方から、検索と送客の構造変化を検証します。
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情報を検索し、その情報源であるWebサイトへ読者が訪れる。四半世紀にわたりWebの発展を支えてきた送客の循環に、構造変化が生じつつあります。米Alphabetが2026年10月28日に発表した第3四半期決算で、検索事業「Google Search & other」の売上高は前年同期比約12%増と伸長しました。しかし翌日、米Redditが公表した同決算では、売上高が同53%増だった半面、Google検索経由の流入減少が明らかになりました。検索事業が成長する一方、情報提供元への送客は維持されているのか。対照的な決算は、AI時代の情報流通を巡る問題を突きつけています。
Redditの2026年第3四半期決算によると、売上高は前年同期比53%増の8億9,500万ドル、広告収入は同54%増の8億4,700万ドルと急成長しました。世界の日次アクティブユニーク利用者数(DAUq)も同12%増の1億3,030万人に達しています。一方、米国のDAUqは同2%減の5,070万人にとどまり、非ログイン利用者は同4%減の2,730万人に縮小しました。株主向け書簡では、第3四半期に検索経由の流入が減少し、後半にかけて減少が加速したと説明されています。さらに10月には、検索流入が週平均で100万件以上減少している状況が示されました。
この検索流入減少について、Redditのスティーブ・ハフマンCEOは、Google検索の「AI Overviews」や「AI Mode」といった生成AI機能の拡充が影響しているとの見方を示しています。AI Overviewsは、検索画面最上部にAIが生成した回答を提示する機能です。従来の検索でリンクをクリックしていた利用者が、画面上で回答を得て外部サイトへ遷移することなく検索を終えられるようになります。もっとも、ハフマンCEOは要因をAI検索だけに限定しておらず、機械翻訳コンテンツの検索順位変更などにも言及しており、複数要因が絡み合っている点には留意が必要です。
検索画面で回答が完結し外部へのクリックが発生しない「ゼロクリック検索」は、AI以前から存在していました。しかし、生成AIの組み込みにより対象が広がるなか、行動変容を示すデータも示されています。米ピュー・リサーチ・センターが2025年7月に公表した調査(同年3月に米国成人900人のデータを分析)によると、Google検索でAI要約が表示された場合に通常の検索結果をクリックした割合は8%にとどまり、非表示の場合の15%と比べ大幅に低下しました。AI要約内の出典リンクをクリックした割合は1%でした。測定条件に留意は必要ですが、AI要約が情報源への訪問を押し下げる可能性を示唆します。
一方、Google側の説明は異なります。同社は2025年8月の公式ブログで、AI機能の導入により検索クエリ全体が増加しており、自然検索による外部サイトへのクリック総量は前年比で比較的安定していると説明しています。また、AI要約を経由した訪問は滞在時間が長いなど、クリックの質が向上しているとも主張し、サイトごとの特性により増減が異なるとの立場です。第三者調査が個別の検索におけるクリック率低下を報告する一方、Googleは全体のクリック総量の安定性を強調しており、双方の視点には対象や時間軸の違いが存在します。
ここで浮き彫りになるのは、検索事業の売上高成長と、情報元への送客量が必ずしも一致しない実態です。AlphabetのGoogle Search & otherの売上高は633億5,000万ドルと前年同期の565億6,700万ドルから約12%拡大しました。検索画面での広告接触やAIによるクエリ創出は検索事業者の収益に寄与していますが、情報提供サイトへのアクセス増に直結するとは限りません。Redditは収益化の80%以上をログイン利用者やアプリ利用者が占めるとし、検索に依存しない関係強化を進めています。しかし、すべてのサイトが独自の会員基盤を持てるわけではありません。
検索エンジンがAIによる回答を画面上で提示し、検索事業の収益が伸びても、情報を公開した個々のサイトに以前と同じように読者が届くとは限らない。この議論は、単なるアクセス減少にとどまらず、誰が何のために情報を公開し、どう対価を得るのかというWeb経済の前提を問い直しています。「検索の成長」と「情報公開側への送客」は今後も両立し続けられるのか。第2回では、AIが情報を利用する時代における広告、購読、データライセンスという「情報の対価」の行方を検証します。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













