残業のストレスは時間の長さだけではない? 正社員2万人調査で見えた「突然の残業」への不満

2026年11月02日 07:21

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東京駅丸の内駅舎前を行き交う人々。マイナビの調査では、突然発生した残業がストレスを感じる残業理由の最多となった。(資料写真)

今回のニュースのポイント

マイナビが10月29日に発表した正社員2万人調査では、78.1%が残業ありと回答し、実際の月平均残業時間は23.8時間、理想は14.1時間でした。残業理由では「突然発生した残業」(41.0%)が最多となり、別設問のストレス理由でも同項目が61.3%に達しました。事前に想定できた残業へのストレスが比較的低い一方、満足層が48.3%いるなど意識の多様性も浮かび、働き方の質が問われています。

本文
 週の始まりである月曜日の朝、多くのビジネスパーソンが職場で業務を開始します。2026年11月2日の本日は、翌日3日に文化の日の祝日を控えた週の始まりです。日常のなかで、働く人々にとって身近な関心事の一つが「残業」です。定時を過ぎて仕事をする理由は様々ですが、残業に伴う精神的な負担について考えるとき、私たちは「何時間働いたか」という時間の長さに目を向けがちです。しかし、感じるストレスの本質は労働時間の総量だけにあるのでしょうか。予定していた帰宅時間が狂い、自分の時間を管理できなくなるもどかしさも要因ではないか。働き方の質的な側面を問い直す調査結果が公表されました。

 人材サービスのマイナビが2026年10月29日に発表した「正社員2万人に聞いた残業に関する意識調査2026」は、全国の20~50代の正社員2万766人を対象にした調査です。調査結果によると、回答者の78.1%が残業があると回答しました。実際の月平均残業時間は23.8時間となっており、理想の月平均残業時間(14.1時間)とは9.7時間の開きが生じています。残業時間を減らしたい意向がうかがえる一方、理想の平均がゼロではないことから、残業を一律になくしたいという意識だけでは捉えられないこともうかがえます。ただし、一定の残業を望む理由までは、この数値だけでは判断できません。

 調査結果を詳しく見ると、残業に対する受け止め方は一様ではないことが分かります。現在の残業時間に対する満足度を尋ねた設問では、肯定的な回答を合わせた割合が48.3%に達しました。さらに、残業時間の長さが転職意欲に関係するかという問いに対しては、過半数の54.0%が関係しないと回答しています。この結果は、残業時間の長さが、すべての回答者にとって転職意欲を左右する要因ではないことを示しています。仕事のやりがいや職場の人間関係、処遇など、個々の事情や価値観によって労働時間の受け止め方に幅が生じる可能性も考えられます。

 その一方で、働く人々の不満が集中した項目があります。突発的な残業です。残業があると答えた人を対象に残業理由を尋ねた設問では、「突然発生した残業」が41.0%で最多となりました。また、別の設問でストレスを感じる残業理由を尋ねたところ、「突然発生した残業」が61.3%で最多となりました。ただし、公式発表本文からは、この設問の正確な回答母数と回答方式までは確定できません。同調査では事前に想定できた残業をストレス理由に挙げる割合が比較的低く、予期せぬ形で仕事が舞い込むことへの心理的負荷が際立ちます。これらは異なる設問に基づく数値であり単純比較はできませんが、予定外の業務に対する負担感の強さを映し出しています。

 同じ2時間の残業を行う場合でも、事前に把握して段取りを組んでいる場合と、突発的に発生した場合とでは、心理的な受け止め方は異なる可能性があります。事前に分かっていれば、退勤後の家族との時間、家事や育児の分担、通院、友人との約束、趣味といった予定をあらかじめ調整できます。しかし、突然の残業はその見通しを一瞬で崩してしまいます。生活上の予定を変更せざるを得ないことが負担の一因ではないでしょうか。残業の負担は、拘束される時間量だけでなく、退勤時刻を自分で見通せるかという予測可能性に深く関係していると考えられます。

 この視点は、企業の働き方改革のあり方にも一石を投じています。これまで多くの企業における労働時間管理は、上限規制や総労働時間の削減といった量的な削減を中心に進められてきました。過重労働を防ぎ健康を守るために総時間を抑制することは重要です。しかし、月間の残業時間がたとえ20時間台に収まっていても、突発的な指示やトラブル対応で占められているとすれば、従業員の疲労感や生活への支障が残る可能性もあります。業務プロセスの可視化や無理な納期の抑制など、仕事の発生そのものを予測しやすくする労務管理も必要ではないかという問題提起が浮かびます。

 明日11月3日は文化の日でお休みという方も多いなか、今日一日の仕事を終えた後の時間を予定通りに使える安心感は、働く人にとって代えがたい価値を持ちます。働き方改革の成果を、単に残業時間を何時間減らしたかという数字だけで評価する時代は変わりつつあるのかもしれません。働く人が日々の予定を自ら設計し、退勤後の生活を見通せる環境を整えること。残業時間の削減という量の議論を超えて、仕事の予測可能性という質の指標に目を向けることが、持続可能な職場づくりに向けた重要な問いかけとなっています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)