Z世代社会人の68.6%が親から援助、62.8%は「親離れできている」 自立意識と生活実態の差

2026年11月02日 16:33

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東京駅周辺を行き交う人々。若手社会人の自立意識と、親による生活支援の実態に注目が集まる(イメージ写真)

今回のニュースのポイント

マイナビの調査によると、社会人1~3年目の62.8%が「親離れできている」と感じる一方、68.6%が親から何らかの援助を受けていました。就職先の最終決定では68.6%が親に相談し、回答者全体の48.0%は「相談したが最終判断は自分でした」と答えています。援助内容は食費や家事、通信費等に及び、進路の意思決定と生活費負担の双方において、若手社会人の自立のあり方が問われています。

本文
 社会人として働き始めた若者にとって、「自立」とは何を意味するのでしょうか。一人暮らしや自らの収入による生活費の負担など、自立には多様な側面があります。マイナビが運営する「マイナビティーンズラボ」の調査によると、社会人1~3年目の若手のうち、自分が「親離れできている」と感じている人は62.8%に上りました。その一方で、調査時点で親から何らかの援助を受けている人も68.6%に達しています。さらに就職先決定に際しても、約7割が親に相談したと回答しました。自立しているという自己認識と、日常的な親からの支援や相談が並び立つ背景には、どのような生活実態と意識があるのか。雇用と家計の視点からその構造を考えます。

 マイナビティーンズラボは2026年10月30日、「Z世代社会人と親の関係性実態調査」を発表しました。調査は2026年7月31日~8月4日にインターネットで実施され、1997~2004年生まれの社会人1~3年目男女306人から回答を得ています。調査対象は大学・大学院卒で新卒就職活動を経験し、両親が健在である層に限定されています。このため、今回の結果は若者全体やZ世代すべての実態を無条件に表したものではなく、特定の条件を備えた大卒若手社員における親との関係性を示したものとして読み解く必要があります。

 就職活動での親との関わりをみると、就職先の最終決定で親に相談した人は68.6%に達しました。内訳は、「親に相談したが最終判断は自分でした」が48.0%、「親の意見を反映して決めた」が20.6%です。親に相談しつつも、最後の決定は自らの意思で行ったとする層が半数近くを占めました。また、内定式や入社式への親の関与については、「関与を希望した」が34.6%、「希望しなかった」が39.9%と意見が分かれています。親を相談相手としつつも、意思決定の主体をどこに置くかについては、若手社員の間でも多様な意識が存在しています。

 一方、日々の生活における具体的な支援の実態にも注目が集まります。調査時点で親から何らかの援助を受けている割合は68.6%でした。援助の内容は、食費44.8%、家事41.0%、スマートフォン代・サブスクリプション・保険料34.8%となっています。金銭的支援だけでなく、家事など、時間や労力を伴う生活支援も大きな割合を占めています。日々の生活基盤において親の支えが存在する実態が示されています。

 こうした支援の実態と、「親離れできている」と感じる人が62.8%という自己認識は、一見すると対照的です。ただし、これらは別個の設問に対する回答結果であり、「親離れできている」と答えた人が実際に親の援助を受けているかどうかは、この集計だけでは分かりません。マイナビ側の解説では、親を頼ることを否定的に捉えず、相談や協力を仰ぐ姿勢を「新しい自立のかたち」とする見解も示されています。進路の選択を自力で下す意思決定上の自立と、日々の生活上の関係性は、必ずしも矛盾するものではない可能性があります。

 雇用や家計の観点からこの結果を捉える際、親からの援助があるという事実のみをもって、給与水準の不足や物価高による生活苦の証拠として直ちに結び付けることは慎重であるべきです。同居による家事の分担や生活費の共同負担、あるいは家族間の慣習など、支援が生じる背景には多様な家庭環境が考えられます。今回の調査では、援助の金額規模や本人の実際の収入、世帯全体の家計収支までは測定されていません。したがって、過度な経済的困窮や一方的な依存関係を読み取ることは避け、若手社員の生活実態を多角的に観察する材料とするのが適切です。

 親に相談したり生活上の支援を受けたりすることは、直ちに「自立していない」ことを意味するのでしょうか。自分でキャリアの進路を選択できることと、家族からの援助を受けずに生活を完結させることは、異なる意味合いを持っています。若手社会人の生活が本人の収入だけでどこまで自立して成り立っているのかという家計の現実は、雇用環境や家族の支え合いのあり方を考えるうえで重要な問いを投げかけています。親に頼ることを単なる甘えとして片付けるのではなく、意思決定の主体性と生活支援の役割を切り分けて捉え直す視点が求められています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)