今回のニュースのポイント
韓国LGエナジーソリューションの2026年第3四半期決算は、売上高が前四半期比27.6%増の9兆6,000億ウォン、営業利益が7,560億ウォンとなりました。同社は北米でEV用電池ラインの転換や新ライン確保を進め、2027年末までにESS向け生産能力を70GWh超へ引き上げる計画を発表しました。大手テクノロジー企業からBTM型蓄電池の直接供給を初受注するなど、AIデータセンターの電力需要開拓を本格化させています。
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韓国の車載電池大手LGエナジーソリューションは2026年11月3日、2026年第3四半期(7~9月)の連結決算を発表するとともに、北米での定置用蓄電池(ESS)生産体制の拡充戦略を明らかにしました。当期は北米向けESS出荷の急増やEV向け電池の供給拡大を背景に、売上高が前四半期から増加しました。同社は北米拠点で既存の電気自動車(EV)用パウチ型電池ラインをESS向けに追加転換するほか、新たな角形ESS電池ラインを確保します。これにより、北米のESS向け電池の年間生産能力を2027年末までに70ギガワット時(GWh)超へと引き上げる目標を掲げました。膨張するAIデータセンターや電力インフラの電力需要を取り込み、EV需要の変化にしなやかに対応する事業戦略が鮮明になっています。
公表された第3四半期決算によると、連結売上高は前四半期比27.6%増の9兆6,000億ウォン、営業利益は7,560億ウォンに達し、営業利益率は7.8%を記録しました。当期の売上高には、米インフレ抑制法(IRA)に基づく北米生産奨励金(AMPC)として4,169億ウォンが含まれています。業績改善の背景として会社側は、北米向けの電力網用ESS電池出荷の大幅増や、高電圧ミッドニッケル製品をはじめとするEV向けパウチ型電池の出荷増、EV向け円筒形電池(21シリーズ、46シリーズ)の堅調な供給を挙げています。加えて、欧州工場の稼働率改善や販売増、北米ESS生産体制の安定化による固定費負担の軽減が営業増益を支えました。多角的な製品群の回復が増益に寄与した格好です。
設備投資戦略の柱となるのが、北米における製造能力の増強と用途転換です。同社は北米拠点でEV用パウチ型電池ラインのESS向け転換を進めるとともに、新たな角形ESS電池ラインを確保する計画です。これらを通じて、北米のESS向け年間生産能力を2027年末までに70GWh超へ引き上げることを目指します。同社は2026年末までに北米でリン酸鉄リチウム(LFP)電池セルの能力を50GWh超とする目標を示していましたが、今回の計画は電力インフラ需要の急拡大を捉えたものです。なお、この70GWh超は将来の生産能力目標であり、現時点での確定受注量や実生産量を示すものではない点には留意が必要です。
今回の発表では、AIデータセンターとの接点となる商談の進展も開示されました。同社は大手テクノロジー企業向けに、電力需要家側に設置されるBTM(ビハインド・ザ・メーター)型蓄電システム(BESS)の直接供給案件を初めて獲得したと明らかにしました。データセンターなどが電力供給の安定化を自前で管理するための設備であり、追加商機につながる足がかりと位置付けています。また、同社は米エヌビディア(NVIDIA)のAIインフラ規格「DSX Ready BESS」の適格認定を取得したことも公表しました。同社のLFP電池を基盤とする蓄電システムが、NVIDIAの示すAIインフラ向けの設計要件に対応する取り組みとして位置付けられていますが、これは規格認定であり、エヌビディアからの直接受注や独占供給を意味するものではありません。
北米での現地供給網と生産体制の整備も進展しています。米アリゾナ州では新たなリンク生産ライン(new link production line)が完成したほか、オハイオ州では電池パック生産能力を段階的に拡張しています。さらに米GMとの合弁工場も操業を再開しました。また、電力網の安全保障や特定国への依存度低減という政策環境に対応し、2027年に向けて規制要件を満たすLFP正極材の供給元を4社以上に拡大する方針です。なお、同社はEV事業から撤退するわけではなく、北米の円筒形電池生産能力についても2027年末までに20GWh超を目指しており、EVと電力インフラの両市場で並行して事業を拡大する戦略をとっています。
今回の発表は、蓄電池産業がEV向け中心から電力インフラやAI計算基盤を支えるインフラ産業へと事業の幅を広げている実態を映しています。生成AI普及に伴う電力逼迫は蓄電システムの重要性を押し上げており、既存のEV向け製造設備を用途転換できる柔軟性は大きな強みとなり得ます。もっとも、2027年末に向けた70GWh超という目標はあくまで生産能力の計画値にすぎず、実際の設備稼働率や収益化の度合いは、主要顧客からの受注動向や生産体制の立ち上がり、供給網の整備状況などに左右されます。巨額投資を伴う北米体制の拡充が期待通りの投資回収を生み出せるかが、今後の焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













