今回のニュースのポイント
任天堂が2026年11月5日に発表した2027年3月期中間決算は、ハード販売減少により売上高が前年同期比12.1%減の9,660億4,100万円となった一方、営業利益は同49.1%増の2,165億円と大幅増益でした。ソフト販売の伸長や米国IEEPA関税還付に伴う約3億ドルの原価減額により営業利益率は22.4%へ上昇しました。中間配当は前年同期から34円増の76円と決定した一方、通期業績予想と年間配当162円予想は据え置きました。
本文
任天堂は2026年11月5日、2027年3月期第2四半期連結決算を発表しました。当中間期の売上高は前年同期比12.1%減の9,660億4,100万円と減収となった一方、営業利益は同49.1%増の2,165億円と大幅な増益を達成しました。経常利益は同27.4%増の3,006億7,600万円、親会社株主に帰属する中間純利益は同11.0%増の2,209億1,700万円となりました。ハードウェアの販売台数減少で減収となったものの、ソフトウェア販売の拡大と売上高に占める割合の上昇に加え、米国関税の還付を売上原価の減額として計上したことなどが寄与し、減収ながら大幅な営業増益を記録する決算となりました。
ゲーム専用機の販売動向をみますと、ハードとソフトで対照的な推移となりました。Nintendo Switch 2のハードウェア販売数量は前年同期比37.4%減の649万台となった一方、ソフトウェア販売数量は同18.8%増の2,449万本へと伸長しました。主な自社ソフトでは『スプラトゥーン レイダース』が242万本、『マリオカート ワールド』が178万本、『ぽこ あ ポケモン』が163万本、『ファイアーエムブレム 万紫千紅』が134万本、『Star Fox』が117万本となりました。従来型Nintendo Switchもハードは同32.7%減の127万台にとどまったものの、ソフトは『トモダチコレクション わくわく生活』が881万本、『リズム天国 ミラクルスターズ』が289万本と牽引し、同6.8%増の6,573万本を記録しました。
大幅な営業増益を達成した主因には、米国関税の還付と収益構造の改善が挙げられます。同社は、米国の国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税還付を受け、当第1四半期に約3億米ドルを売上原価の減額として計上しました。還付対象となった関税は、主として販売価格に転嫁せず自社で負担していたものです。この原価減額に加え、ソフトウェアの販売拡大に伴い自社ソフト売上高比率が前年同期の67.2%から76.6%へ上昇したことなどが寄与し、売上総利益率は前年同期の36.2%から50.4%へと14.2ポイント大幅に改善しました。販管費は研究開発費が前年同期比16.8%増の962億円となるなど同6.6%増の2,699億円に増加したものの、粗利益率の改善が上回り、営業利益率は前年同期の13.2%から22.4%へ9.2ポイント上昇しました。
ソフトウェアのデジタル化やIP関連の展開も収益を支えました。ゲーム専用機におけるデジタル売上高は、パッケージ併売ダウンロードソフトの販売増や円安推移を背景に、前年同期比60.5%増の2,496億円に拡大しました。ゲーム専用機ソフト売上高に占めるデジタル売上高比率は60.7%となり、前年同期の54.5%から6.2ポイント上昇しました。また、IP関連収入等については、映画『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』に関連する映像コンテンツ収入の増加などが寄与し、前年同期比87.9%増の627億円へと急伸しました。ゲーム専用機全体の売上高は同15.3%減の9,033億円となりましたが、デジタル化とIP展開の進展が下支えを果たしました。
株主還元では、中間配当が前年同期から増加しました。同社は2026年11月5日の取締役会において、当中間期の配当金を1株当たり76円とすることを決議しました。前年同期の中間配当42円から34円の増額となり、配当金総額は876億2,100万円、効力発生日は2026年12月1日です。同社は中間期の連結営業利益の40%を配当基準としており、営業増益が増額に反映されました。一方、2027年3月期の1株当たり年間配当予想につきましては、期末配当予想を86円とし、2026年5月8日に公表した年間162円(前期実績は219円)の予想を据え置きました。中間配当は増額されたものの、通期の年間配当予想自体は期初計画から変更されていません。
2027年3月期の通期連結業績予想につきましては、2026年5月8日に公表された期初予想が据え置かれました。通期の売上高予想は前期比11.4%減の2兆500億円、営業利益予想は同2.7%増の3,700億円、経常利益予想は同20.7%減の4,300億円、親会社株主に帰属する当期純利益予想は同26.9%減の3,100億円を見込んでいます。通期前提の為替レートは1米ドル150円、1ユーロ175円、米国関税措置は2026年3月末時点の税率を勘案しています。また、メモリを中心とする部材価格の高騰や関税の支払いなどに伴う原価への影響として、通期で約1,000億円を織り込んでいます。上期営業利益は前年同期比49.1%増となったものの、通期業績予想数値は据え置かれています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













