10月のマネタリーベース13.6%減、日銀当座預金の縮小続く 前月比年率は4.9%増

2026年11月04日 10:35

日銀6

日本銀行本店。日銀が11月4日に公表した2026年10月のマネタリーベースは、平均残高の前年同月比で13.6%減となり、減少率は前月から縮小した。(資料写真)

今回のニュースのポイント

日本銀行が11月4日に公表した2026年10月のマネタリーベースは、平均残高の前年同月比で13.6%減となり、9月の15.2%減から減少率が縮小しました。平均残高は532兆5,717億円で、構成項目の日銀当座預金は16.4%減でした。一方、季節調整済み前月比年率は4.9%増となり、前月の10.2%減からプラスに転じました。前年比での二桁減が続く一方、季節調整済みの短期指標では異なる動きが見られます。

本文
 日本銀行調査統計局が2026年11月4日午前8時50分に公表した「マネタリーベース(2026年10月)」によると、同月のマネタリーベースは、平均残高の前年同月比で13.6%減少しました。9月の15.2%減から減少率は1.6ポイント縮小したものの、中央銀行が供給する通貨総量は前年水準を下回る推移が続いています。マネタリーベースの大部分を占める日銀当座預金の平均残高も、前年同月比16.4%減となりました。一方で、足元の短期的な変化を示す季節調整済み前月比年率は4.9%増となりました。前年同月比での縮小が続く一方、季節調整済みの短期指標は前月のマイナスからプラスに転じました。前年比較での基調的な縮小傾向と、月ごとの統計処理上における異なる方向性の指標が併存する結果となっています。

 2026年10月のマネタリーベース平均残高は532兆5,717億円となりました。前月(9月)の平均残高である532兆8,464億円と比較すると、実数ベースでは2,747億円の減少を記録しています。原表の億円単位の計数では、9月の5,328,464億円から10月は5,325,717億円となり、兆円換算で532兆円台半ばの水準です。前年同月比の減少率が15.2%から13.6%へ1.6ポイント縮小したことや、季節調整済み前月比年率がプラスに転じたこととは別に、季節調整前の平均残高の実数は前月から小幅に減少しています。異なる統計指標を比較する際は、実額の推移と比率の計算方法の違いを正確に把握することが重要です。

 構成項目の内訳をみると、資金供給の中心である日銀当座預金の平均残高は413兆9,317億円となり、前年同月比で16.4%減少しました。前月の18.3%減から減少率は1.9ポイント縮小しています。なお、当座預金の実数は9月の413兆6,678億円から2,639億円増加しており、前年比較のマイナスと前月からの実額増が併存しています。日本銀行券発行高の平均残高は114兆632億円で前年同月比2.3%減(前月は2.0%減)、貨幣流通高は4兆5,768億円で前年同月比1.1%減(前月は1.2%減)でした。準備預金残高の平均残高は382兆1,699億円で前年同月比15.2%減となり、前月の17.3%減から2.1ポイント縮小しています。準備預金は当座預金の内訳要素であり、二重計上を避けて整理する必要があります。

 今回の発表で注目されるのが、季節調整済みマネタリーベースの短期的な変化です。10月の季節調整済み前月比年率は4.9%増となり、8月の28.8%減、9月の10.2%減からプラスに転じました。日本銀行の注記によれば、この計数は季節調整を行った系列の前月比を年率換算した伸び率です。注意すべき点として、この4.9%増は年率換算の数値であり、前年同月比の残高が増加したわけでも、10月単月の残高が前月から4.9%増えたわけでもありません。前年同月比がマイナス13.6%にとどまるなか、季節要因を除去した直近1か月の動向を年率換算した指標において反発が生じたという統計的な性質を理解する必要があります。

 中長期的な推移を振り返ると、2026年のマネタリーベース前年同月比は、1月の9.5%減から4月に11.3%減、7月に13.8%減、8月には15.7%減までマイナス幅が拡大していました。その後、9月に15.2%減、10月に13.6%減と、前年同月比の減少率は2か月連続で縮小しました。なお、2026年7~9月期は前年同期比14.9%減でしたが、こちらは四半期の統計であり、10月単月とは対象期間が異なります。また、測定時点が異なる月末残高をみると、10月末は537兆2,137億円となり、9月末の535兆4,214億円から1兆7,923億円増加しました。平均残高が前月比で減少した一方、月末残高は増加しており、集計方法による違いが明確に現れています。

 マネタリーベースは、中央銀行が市場に供給する通貨の量を把握するための基礎的な統計指標です。10月の結果は、前年同月比で2桁のマイナスが続くものの減少率は縮小し、季節調整済み前月比年率ではプラスへ転じるなど、指標ごとに多面的な動きを示しました。もっとも、公表された資料は残高や増減率の実績を示すものであり、特定の政策意図や市場変動の単独要因を証明するものではありません。金利政策や国債買い入れの動向、金融市場調節方針との整合性については、金融政策決定会合の公表文書や日銀の各種オペレーション結果など、別の公式発表と照合しながら総合的に判断することが求められます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)