Google、米データセンターに170億ドル投資 702MWの燃料電池発電とCO₂回収、電力・水の制約に対応

2026年11月06日 10:43

google建設場所

Googleが170億ドルの長期投資を発表した米ワイオミング州の位置を示すイメージ図。州南東部のララミー郡・シャイアン周辺で、データセンターと702MWの燃料電池発電設備の整備を計画している(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

米グーグルは2026年11月5日、米ワイオミング州に同社初となるデータセンターを建設し、長期的に170億ドルを投資すると発表しました。電力・水資源の制約に対応するため、702MWの天然ガス燃料電池発電設備やCO₂回収・貯留(CCS)技術、空冷方式を一体的に導入する計画です。使用電力費用や直接必要なインフラ費用を全額負担する方針を示し、地域社会との合意形成を図りながら持続可能なAIインフラ構築を目指します。

本文
 米グーグル(Google)は2026年11月5日、米ワイオミング州に同社初となるデータセンターを建設し、長期的に170億ドルを投資すると発表しました。対象地域は州南東部のララミー郡シャイアン周辺で、エネルギーや電力、デジタルインフラ分野の複数企業と連携して事業を進めます。今回の投資計画の大きな特徴は、データセンターの建設と電力供給設備の整備を一体的に推進する点にあります。AIやクラウド需要が急拡大するなか、グーグルは702メガワット(MW)の燃料電池発電設備、二酸化炭素(CO₂)回収・貯留(CCS)技術、空冷方式などを計画し、電力網や水資源への負担を抑える具体的な事業設計を打ち出しました。

 電力供給の中核として計画されているのが、アメリカン・エレクトリック・パワー(AEP)との契約に基づく702MWの燃料電池発電設備です。この設備は天然ガスを燃料とし、電気化学反応によって電力を生み出します。燃料電池システムは米ブルーム・エナジー(Bloom Energy)が国内製造する予定で、グーグルは商業規模での新しい取り組みと位置づけています。AIインフラの拡張に伴い、電力確保がデータセンター立地の重要な事業条件となっています。グーグルが発電設備の計画容量を具体的に示し電源確保に踏み込んだことは、先端コンピューティング基盤がエネルギー供給力と直結している実態を示しています。ただし、702MWは発電設備の計画容量であり、施設単体の消費電力を示すものではありません。

 燃料電池発電にあたっては、環境負荷を低減するためCO₂回収・貯留(CCS)技術を組み合わせる計画です。グーグルの発表によると、回収されたCO₂の大部分はトールグラス・エナジー(Tallgrass Energy)が近隣で進める「イースタン・ワイオミング貯留ハブ」で地中に恒久貯留する構想です。さらにグーグルは、トールグラス・エナジーとブラック・ヒルズ・エナジー(Black Hills Energy)が運営する天然ガス発電設備からも電力を調達する方針です。あわせて、トールグラスの複合サイクル発電設備へのCCS導入可能性について基本設計に向けた技術検討も進めるとしています。電力需要に応えつつ、天然ガス発電に伴うCO₂排出を商業規模で抑制する技術の展開を目指しています。

 水資源対策としては、データセンターの冷却に空冷方式を採用する方針を明示しました。水はデータセンターの冷却や発電プラントの運用に関わる貴重な地域資源であり、大規模施設の立地に際しては周辺自治体や住民への影響が問題となり得ます。グーグルは空冷技術の導入によって地域の水資源への負担を抑えるとともに、地域内での水資源の補充に関する取り組みも併せて進める方針を示しました。AIインフラの拡大に伴い、電力供給の確保だけでなく、冷却方式の選定や水資源の管理も設備投資を左右する重要な要素となっています。なお、空冷方式の採用は水使用を抑える取り組みであり、事業全体の水使用量がゼロになることを意味するものではありません。

 地域社会との関係を巡り、グーグルは住民負担の軽減策や経済効果についても方針を提示しました。同社はデータセンターで使用する電力費用を100%負担するほか、事業拡張に直接伴って必要となるインフラ整備費用も負担する方針を明らかにしました。これにより、地域の電力料金負担が増える懸念に対応する姿勢を示しています。さらに、ララミー郡や地元学区に対して数億ドル規模の固定資産税収をもたらすとの見通しを示し、雇用や地域経済を支える効果を強調しました。地元では200人を超える住民が参加した協議の場が設けられており、グーグルと関係企業は地域課題に対応するための地域協議会を設置する方針です。

 今回の計画は、最先端のデータセンター整備がサーバー調達にとどまらず、発電設備、送配電網、冷却設備、環境対応、地域社会との合意形成を同時に織り込む総合開発へと高度化している実態を示しています。米国では中間選挙を経て、今後のエネルギー政策や環境規制、データセンター建設に伴う地域負担をめぐる議論も注目点となります。大型設備投資は長期計画に基づくため、議会構成の変化が直ちに個別企業の投資判断を左右するわけではありません。ただ、電力供給や許認可、地域社会との合意形成は事業の採算と進行に関わる要素であり、政策環境の行方も投資家が注視する材料となりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)