最低賃金の底上げ進むも、住居費負担は重く 内閣府分析、東京の募集家賃7.4%上昇

2026年11月04日 18:14

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中央合同庁舎第5号館。内閣府が公表した「今週の指標」では、最低賃金の底上げと東京都の募集家賃上昇がそれぞれ示されました(写真はイメージ)

今回のニュースのポイント

内閣府が11月2日と4日に公表した「今週の指標」から、家計の賃金と住居費を巡る動向が示されました。2026年度の最低賃金は全国加重平均1,177円(前年度比56円増)となり、地域差を示す変動係数は0.042と2002年度以降で最小となりました。一方、東京都の2026年7~9月期の募集家賃指数は前年同期比7.4%上昇し、新しく貸家を探す家計の負担が続いています。対象や性質の異なる両指標から、家計の現状が浮き彫りとなっています。

本文
 内閣府が2026年11月2日と4日にそれぞれ公表した週次レポート「今週の指標」から、最低賃金の全国的な底上げと東京都における募集家賃の上昇という、家計を取り巻く二つの大きな動向が浮かび上がりました。11月2日公表のNo.1428によりますと、2026年度の最低賃金は全国加重平均で1,177円となり、前年度から56円引き上げられ、都道府県間の格差も縮小傾向を示しています。一方で、11月4日公表のNo.1429によりますと、東京都における2026年7~9月期の募集家賃指数は前年同期比で7.4%上昇し、新しく賃貸住宅を探す世帯にとって住居費の負担が大きい状態が続いています。制度的な賃金の底上げが進む一方で、都市部での住まい探しに伴う固定費負担が依然として重い状況が浮き彫りとなっています。

 2026年度の最低賃金の改定状況を見ますと、全国加重平均額は時給1,177円となり、前年度の1,121円から56円(5.0%)引き上げられました。最低賃金の引き上げ額としては、1978年度に改定の目安制度が始まって以来、過去2番目の大幅な引き上げ幅となりました。改定の経緯としては、2026年7月28日に中央最低賃金審議会が全国加重平均で55円の引上げ(目安額1,176円)を答申しました。これを参考に各地方最低賃金審議会で審議が進められ、9月3日までに47全都道府県で改定額が決定されました。最終的な全国加重平均は答申の目安を1円上回る1,177円で決着しました。昨年度と異なり、多くの地域で10月1日から適用され、今年度は秋に集中的に最低賃金の引き上げが行われます。

 最低賃金の動向における大きな特徴は、地域間格差の継続的な縮小です。2026年度の都道府県別最高額は東京都の1,280円、最低額は宮崎県の1,085円で、その金額差は195円となりました。内閣府の分析によりますと、2023年度から2026年度にかけて最低賃金水準の低かった地域ほど大幅な引き上げが実施された傾向が確認されています。都道府県間のばらつきを示す指標である「変動係数」は2026年度に0.042となり、2015年度から12年連続で低下しました。全都道府県のデータが比較可能な2002年度以降で最も小さい値を記録しています。さらに、求人情報サイトのビッグデータを活用した分析でも、パート・アルバイトの募集賃金の地域間ばらつきが縮小基調にあることが示されています。

 賃金面の底上げが進む一方で、大都市圏の住居費には依然として強い上昇圧力がみられます。内閣府が11月4日に公表した家賃動向分析によりますと、2026年7~9月期における東京都全体の募集家賃指数(2016年1~3月期=100)は130.1となり、前年同期比で7.4%上昇しました。地域別の伸び率を見ますと、都区部(23区)全体では前年同期比の伸び率がおおむね横ばいで推移した一方、市町村部では伸び率がやや上昇しました。都区部をエリア別に細かく見ますと、中野区・杉並区・練馬区からなる西部エリアで伸び率がやや上昇したのに対し、都心部や東部、南部、北部といったその他のエリアでは伸び率がわずかに低下するなど、地域的な濃淡も現れ始めています。

 間取りタイプ別の募集家賃動向を見ますと、単身者向けの「シングル向け」は都区部で前年同期比の伸び率がやや低下した一方、市町村部ではやや上昇しました。「カップル向け」は都区部で横ばい、市町村部でやや上昇し、「ファミリー向け」の伸び率は都区部・市町村部ともに横ばいとなりました。募集家賃指数は、不動産会社などが新たな入居者を募集する際に提示する家賃を指数化したものであり、既存の居住者が支払っている「ストック家賃」とは異なります。内閣府は、募集家賃指数が消費者物価指数(CPI)の構成要素であるストック家賃に対して先行性を持つと考えています。ただし、今回の上昇率が既存契約の家賃にそのまま反映されることを意味するものではありません。

 今回の内閣府の二つの分析は、家計を取り巻く収入と固定費の課題をそれぞれ示しています。最低賃金の底上げや地域間格差の是正は、低賃金層の処遇改善や地域経済の活性化において重要な成果です。一方で、東京都をはじめとする都市部では、新たに賃貸住宅を探す家計にとって依然として募集家賃の上昇が重い負担となっています。なお、最低賃金は全国の労働者を対象とした制度上の下限額であり、募集家賃は東京都の新規物件を対象とした指標であるため、両者を直接差し引いて実質的な購買力や家計収支を論じることはできません。賃金の改善が着実に進むなかで、住居費をはじめとする生活関連コストの動向が家計にどのような影響を及ぼしていくか、今後の推移が注視されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)