コミュニケーション能力のアップが就職への早道

2011年01月25日 11:00

 2009年7月より緊急人材育成就職支援事業として、雇用保険を受給できない人を対象にした職業訓練(通称基金訓練)が民間委託で開始されている。内容としては資格や知識の習得を目的とする訓練が多く、2009年度の就職率は、中央職業能力開発機構発表では約6割。ただし、この数字の分母には、訓練修了時に別の訓練受講をさらに希望する人は除かれ、実質就職率はさらに低いのが現状だ。

 現行の職業訓練は、業務知識やパソコン・専門技術など、仕事の「道具」の使い方を演習・座学で教えるタイプと、企業の職場内で仕事の体験をする実習型の2種類あり、座学型が大半を占めている。ところが、企業が採用時最も重視する能力は性格・思考対人能力38.4%、専門スキル・実務経験23.9%、資格 11.3%(平成16年人材ニーズ調査)と、現行の職業訓練が企業に評価されにくいデータもでている。コミュニケーション能力・段取り力・思考の柔軟性など、仕事力の土台を支える能力が低いと、技術や知識を活用できず、即戦力として対応できないのが実状だ。

 そこで再就職支援を行うあじさいキャリアフロンティアは、擬似職場体験型の課題達成のプロセスを通じ、対話力の向上や論理的思考を習得する職業訓練「特徴イカス隊」を開発。プログラムの中心となる実習は、グループで販売実習の成功を課題とし、必要な知識や技能を座学で習得する構成。販売実習の成功を目標にしたのは、計画を立て、商品の仕入・制作・金銭管理・広告など各自が得意な役割を分担し、自分の特徴を生かしながら擬似職場体験をしてもらうことが狙い。正社員経験がない若年者や再起をはかる中高年など、就職困難者の再就職・再起業の可能性が高まればとの想いで、前回職業訓練受講生の協力を得て開発したという。

 長引く不況による深刻な就職難が現在も続いている。本当に就職に直結する訓練とは何か、考えなければならない局面にきている。