カメルーンとガーナでのW杯PV無料上映がエイズ蔓延防止に貢献

2010年08月13日 11:00

 ソニー <6758>、国連開発計画(以下、UNDP)、国際協力機構(以下、JICA)は、国連が掲げる国際社会の目標「ミレニアム開発目標(MDGs)」の達成、特にHIV/エイズの蔓延防止を目的とした官民連携のプロジェクト「Public Viewing in Africa (パブリックビューイングインアフリカ)」を、今年世界最大のスポーツイベントである2010 FIFAワールドカップの開催期間中にアフリカ地域代表国のカメルーン共和国とガーナ共和国で実施した。

 「ミレニアム開発目標(MDGs)」は、国連が掲げた8つの国際開発目標で、貧困撲滅、教育の普及、HIV/エイズなど疾病の蔓延防止などがあり、2015年を達成期限としている。今回実施された共同プロジェクトは、UNDP、JICAによる国際協力とソニーの社会貢献活動を組み合わせ、その相乗効果によって、より多くの人々へのHIV/エイズ啓発・教育の普及を狙ったもの。FIFAワールドカップ出場国でありながらも、貧困などにより、テレビの普及率が低く、自国チームの応援さえもできない人が多い両国において、ソニーとJICAがそれぞれ行っているHIV/エイズ蔓延防止の啓発・教育活動の現場に、200インチのスクリーン、ソニーのプロジェクター、ブルーレイディスクプレーヤー、防水スピーカーなどから構成される大型映像装置を設置し、FIFAワールドカップ26試合をHDクオリティで無料中継上映された。

 UNDPとJICAは試合前後やハーフタイムに、HIV/エイズに関する劇やクイズ大会、歌・ポエム選考会、コンドームの無料配布などのイベントを行い、参加者のHIV/エイズに対する認識向上を図るほか、HIV/エイズのカウンセリングと検査会場も設置し、蔓延対策の促進を図った。このプロジェクトの結果、両国で約24,000人が参加し、HIV受診者に関しては当初目標にしていた人数の約2.5倍の約4,800人となり、HIV/エイズの蔓延対策に貢献する成果を得られたようだ。

 また、現地にて、ソニーが独自開発したサッカーボール「Join the Team!」も両国各地域で寄贈された。耐久性に優れ環境に配慮した植物原料プラスチックを使用したこのボールは、グラウンドの整備が行き届かないことから、ボールが長持ちしないというアフリカの実情を背景に、ソニーが素材研究を重ね開発されたものだという。今後も、3,372個の「Join the Team!」ボールを、UNDPやJICAなどの国際協力機関やNGOを通して、アフリカの子どもたちに順次寄贈される予定だ。

 2015年までにMDGsを達成するため、開発途上国の社会および経済開発を推進しているUNDPとJICAでは、現在特に民間企業との連携強化を重視しているようだ。ソニーの社会貢献活動は、こうした方針と合致しており、今後、国際協力活動において連携をさらに強化していくことで、国際社会が抱える課題の解決に大きく貢献するものになると期待されている。
(編集担当:北尾準)