太陽光発電システムビジネスが本格化

2013年05月12日 19:02

太陽光発電パネル戦争も激化

 価格競争が激化する太陽光パネルは、新興国が幅を利かせる。だが重工業の風車では激しい競争で鍛えられた先進国が主役だ。デンマークのベスタス、スペインのガメサ、ドイツのエネルコン等々、再生エネルギー先進国には強い風車企業がある

 国内需要は減っても海外に出ても生き残っている。

 しかし日本の制度は再生エネルギーに厳しく参入を遅らせてきた。世界は今原子力発電に代わるエネルギーの開発に真剣に取り組んでいる。そうした面での日本への技術面での依存度は高い。ヨーロッパでの日本の技術力の評価は世界一だという人も多い。

 壮大な原野や砂漠を保持する中東でもメガソーラーへの関心が高く、多くの計画が進行しているのは確か。日本も参加の意思を示しているが、コスト的に、韓国や中国との差は大きい。特に太陽光パネルのコストの高さは、日本は世界のトップクラス。いつもプロジェクトの最後の段階で、リタイヤする現象がいまだに続いている。国際競争に勝つには、太陽光パネルのコスト低減が今最大の課題といえよう。

太陽光発電屋根貸ビジネス進む

 太陽光発電業界で、今脚光を浴びているのが、建物の屋根を活かしたビジネス。

 三菱商事とJAグループは、全国の農業の倉庫や、選果場など約600か所の屋根に太陽光パネルを付ける計画が進行している。総投資額は、600億円。2014年までには計20万キロワット分を設置する予定。中小企業もこうした傾向をビジネスチャンスとしてとらえ、積極的に乗り出す方針だ。

 小売店などに省エネの進め方を指導してき、東京の環境経営戦略総研など、「発電」と「屋根がし」を提案している。多くの店舗を持つスーパーなどは、自ら屋根にパネルを置いて発電するか、屋根だけを発電会社に賃貸する。

 しかし企業が心配するのはFITの制度が今後安定して続くのか、ということだろう。新しく政権を奪還した自民党の原子力政策次第では、大きな転換もありうるとして、不安感を訴える企業も多い。未だにエネルギー基本計画を決められずにいるのも不安を増長する要因だ。
 
 高まり始めた太陽光発電への投資熱が、急速にしぼむことがないよう再生可能エネルギーの基本方針を打ち出してもらいたいものだ。(編集担当:犬藤直也)