【今週の振り返り】法人減税で上げて下げて結局34円上昇の週

2013年08月17日 20:12

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「首相が指示」の記事が出て2日で530円上昇官房長官の「指示していない」の後、2日で400円下落

 13日のNYダウは31ドル高。7月の小売売上高は自動車、ガソリン、建設資材を除くコア指数は良くても総合指数は市場予測をわずかに下回る微妙な結果で、長期金利が上昇し午前中はマイナスだったが、アトランタ連銀のロックハート総裁が「9月のFOMCで量的緩和縮小の計画を策定するのは時期尚早」と発言したので午後はプラスに浮上した。14日朝方の為替レートはドル円が98円台前半、ユーロ円が130円台前半で、それぞれ前日の朝より1円、円安が進んでいた。

 日経平均は69.74円高の13936.74円で始まる。しかし節目の14000円にはタッチできず午前10時台に13900円をたびたび割り込み、11時をすぎ、TOPIXを置き去りに一気にマイナス圏まで急落した。ドル円が98円を割り込んだ後場はTOPIXも巻き込んで下げ幅をひろげ午後1時9分に13747円まで下げる。ところがそこから〃V字回復〃。ドル円が98円台に戻った2時前にプラスに浮上して13900円を突破し、2時30分すぎには14000円にタッチして定着。前日と同じく為替とセットの先物の仕掛け買いで急騰するパターンで、終値は183.16円高の14050.16円で2日連続高値引け。後場2時間足らずで303円も上昇した。TOPIXは+14.19の1171.34でこれも高値引け。売買高は22億株、売買代金は1兆8793億円で前日より多かった。

 全業種がプラス。上位は不動産、証券、精密機器、鉄鋼、保険、食料品など。下位は金属製品、パルプ・紙、石油・石炭、その他金融、倉庫、水産・農林などだった。

 14日のNYダウは113ドル安で7月10日以来の安値。4~6月期のGDP成長率は、フランスが+0.5%、ドイツが+0.7%、ユーロ圏全体が7四半期ぶりプラスの+0.3%と続けざまにポジティブな数字が発表され「ヨーロッパの夜明け」を感じさせたが、エジプト情勢の緊迫化で原油高リスクが意識されロンドン市場のFTSE100は下落。NY市場では長期金利の高止まりが買い意欲を鈍らせ、セントルイス連銀のブラード総裁の「量的緩和の継続はインフレを招く」という趣旨の発言がとどめを刺し大幅安。15日朝方の為替レートはドル円が97円台後半、ユーロ円が129円台後半で前日より円高だった。

 日経平均は204.52円安の13845.64円で始まる。さすがに2日で530円も上昇すると利食い売りに押される。それでも底堅く午前10時30分すぎには13900円台に乗せ14000円の大台まであと19円まで迫ったが、11時台に為替が円高に振れて日経平均も100円を超える下落。その原因は「政治家の口」で、菅官房長官が13日付日経新聞朝刊の「首相が法人減税を指示」について「指示した事実はない」と否定し、麻生財務大臣が「法人減税の効果は少ない」と発言した。株価は閣僚の口に反応する。後場ははじめ13800円をはさんで一進一退だったが、徐々に変動域が下がって終値は297.22円安の13752.94円と3日ぶりに反落。日中値幅はこの日も270円もあった。TOPIXは-19.52の1151.82。売買高は20億株、売買代金は1兆6886億円だった。

 業種別騰落率では海運セクターだけ値上がりした。マイナス幅が小さい業種は鉱業、非鉄金属、水産・農林、石油・石炭、精密機器など。大きい業種はゴム、証券、不動産、パルプ・紙、金属製品、情報・通信などだった。

 15日のNYダウは225ドルの大幅安で続落。毎週木曜発表の新規失業保険申請件数は32万件で6年ぶりの低水準で、8月の雇用統計の改善が望めそうで「量的緩和縮小の早期開始」観測が強まり長期金利が2.77%まで上がり株価が下落するというメカニズム。NY連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀製造業景気指数が低下、鉱工業生産は横ばいでいずれも市場予測を下回り、原油価格や金価格を上昇させているエジプト情勢の悪化や、シスコシステムズ、ウォルマートの良くない決算も株価を押し下げた。16日朝方の為替レートはドル円が97円台前半、ユーロ円が129円台後半でほぼ前日並みの水準。

 外資系証券の売買注文状況は3日ぶりに売り越しになり、日経平均は220.33円安の13532.61円で始まる。下げ幅を圧縮し、為替レートも安定しておおむね13600円台で推移するが、午前11時台に13600円を割り込んで前場終了。指数先物清算日の上海総合指数がマイナス圏から急騰した影響で後場は100円近く上昇して始まり、午後1時40分すぎには13700円台に乗せて前日終値まであと13円まで迫るが、2時をすぎると上海市場の下落と歩調を合わせて13600円台前半まで下げ、13650円前後でもみあって終値は102.83円安の13650.11円。猛暑、お盆の薄商いの中、2勝3敗でも前週末から34円上昇し今週の取引を終えた。TOPIXは-9.17の1142.65。売買高は18億株、売買代金は1兆6246億円で、今週は1度も2兆円を上回れなかった。

 業種別騰落率は鉱業、証券、サービスの3業種がプラス。マイナス幅が小さい業種は不動産、空運、医薬品など。大きい業種はパルプ・紙、保険、非鉄金属、鉄鋼、電気・ガス、水産・農林などだった。(編集担当:寺尾淳)