【今週の振り返り】シリア攻撃するかしないかで271円下げた週

2013年08月31日 20:11

0205_031

夏の終わりの地政学的リスクは、リスク回避の円買いや原油高で「遠くの戦争は買い」とはならず

 28日のNYダウは48ドル高。シリア攻撃はまだ始まらないが、下げるだけ下げると押し目買いが入って自律反発する。中古住宅販売仮契約指数が市場予測を下回って住宅関連セクターは軟調だったが、原油先物価格が1バレル110ドルを突破し2年4ヵ月ぶりの高値をつけてエネルギー関連銘柄が買われ、石油大手のシェブロンとエクソンモービルのNYダウ・プラス寄与度は合わせて38ドル。29日朝方の為替レートはドル円は97円台後半、ユーロ円は130円台前半で前日とあまり変わらない水準だった。

 日経平均も自律反発気味に44.49円高の13382.95円で始まる。25日騰落レシオは前々日、前日は80%を割り「売られすぎ」シグナルが出ていた。前場の日経平均はプラスが続いて13400円台にたびたび乗せても、TOPIXはなかなか伸びずにマイナスの時間帯も多く、値下がり銘柄のほうが数で優勢な局面もたびたび現れた。

 先物・値がさ株主導で後場も「NTねじれ現象」が断続的に出現したが、午後2時台に日経平均が13400円台後半の水準に上がりTOPIXもマイナスにならなくなった。大引け9分前に最高値13463円をつけて終値は121.25円高の13459.71円。日中値幅は99円で8月初めて100円を割り込んだ。TOPIXは+2.48の1116.51で日経平均ともども4日ぶりに反発している。日経平均は月末恒例のドレッシング買いが1日早く始まった感もあり、TOPIXは時価総額が大きい電力株が全て下げたのが響いた。売買高は18億株、売買代金は1兆4763億円。

 業種別騰落率上位は鉱業、ガラス・土石、石油・石炭、海運、水産・農林、パルプ・紙など。値下がりセクター下位は電力・ガス、ゴム、空運、その他製品、医薬品、陸運などだった。

 29日のNYダウは16ドルの小幅高。4~6月期実質国内総生産(GDP)改定値が速報値から上方修正されて前期比2.5%増になり、新規失業保険申請件数が前週より減少したが、経済指標が良くても量的緩和縮小懸念は出ない。シリア攻撃はオバマ大統領が「決定は下していない」と繰り返し、マーケットでは「すぐには行われず、行われても小規模」という見方が優勢になり金や原油の先物価格も石油関連株の株価も下落した。英国議会下院が参戦を否決した30日朝方の為替レートは、ドル円が98円台前半、ユーロ円が130円台前半で、ドル円が少し円安に振れていた。

 月末のドレッシング買いと金曜日の利益確定売りが重なり、全般的に好調な数字が揃った取引時間前発表の経済指標の影響もTOPIXのリバランスの影響も出そうな日経平均は113.53円高の13573.24円で始まり、13600円にも一時タッチ。欧米株の堅調と軍事緊張の小康状態が後押しするが、それも1時間限り有効だった。午前10時を回るとまずTOPIXがマイナスになり、日経平均も13500円を割ってマイナス圏に落ち、さらに13400円も割り込む急落を喫する。しばらく13400円前後でもみあうが11時台は一段安で、前引値は13369円になった。

 後場は午後2時頃に一時13367円まで下げる場面もあったが、大半の時間帯はマイナス圏、13400円をはさんで行ったり来たりする方向感のない小動きで推移。土壇場の波乱は起きず終値は70.85円安の13388.86円で1勝4敗、前週末比271円安で今週の取引を終えた。7月末と比べると279円安で8月を締めくくり、これで4ヵ月連続マイナス。売買高は22億株で8月23日以来の20億株台に乗せたが、売買代金は1兆9703億円で2兆円に少し足りなかった。

 業種別騰落率では海運、電力・ガス、その他金融の3業種がプラス。マイナス幅が小さい業種はゴム、サービス、電気機器など。マイナス幅が大きい業種はパルプ・紙、その他製品、非鉄金属、鉱業、石油・石炭、化学などだった。(編集担当:寺尾淳)