東レ<3402>、韓国の子会社「東レ尖端素材」において、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂「トレリナ」を生産する新工場を韓国・全羅北道群山市セマングム産業団地に設立する。東レグループとして初の海外でのPPS樹脂生産拠点となる。年産8600トンを目指し、2016年4月からの稼働を予定している。これにより、既存の東レ東海工場とあわせた生産能力は年産27600トンまで拡大する。
また、今回の工場新設にあたって、PPS樹脂の主原料である硫化水素ナトリウム、パラジクロロベンゼンも自製することで、コスト競争力を有した主原料から樹脂の一貫生産拠点とする。さらに、樹脂に意匠性や機能性の加工を施すためのコンパウンド設備もあわせて導入し、年産3300トンの能力で、15年10月から先行して顧客への出荷開始を目指す。
新工場で生産したPPS樹脂は、韓国内消費分以外は中国を中心とした東レグループの各コンパウンド拠点へ供給し、グローバルな事業拡大を一層進めていく。なお、同社はPPS樹脂の需要拡大に対応するため、次期増設の計画検討にも着手している。
PPS樹脂は、耐熱性や耐薬品性、機械的強度、難燃性等に優れた「スーパーエンプラ」で、自動車の電装部品や電機・電子機器、OA機器、住設関連部品等に使用され、採用領域が更に拡大している。PPS樹脂コンパウンドの世界需要は約7万トン(12年)と推定され、今後も年率8%以上の高成長が見込まれている。同社はこのPPS樹脂の拡大する需要を取り込むために、今回、PPS樹脂の生産拠点を新設することを決めた。
同社グループはPPSを樹脂コンパウンドの他に、フィルムや繊維分野にも展開する総合PPSメーカーであり、世界ナンバーワンの事業規模を誇っている。今回の生産拠点新設により、樹脂コンパウンド分野で今後の需要増が期待される高機能・環境対応製品への用途展開を推進し、世界ナンバーワンのポジションを一層強化していくとしている。(編集担当:久保田雄城)