既存店売上高が前年割れを続けるマクドナルド。サラ・カサノバ社長兼最高経営責任者(CEO)は16日の日本経済新聞で、商品力を強化し、既存店の客数を底上げする考えを明らかにした。
マクドナルドは現在、全国に約3300店舗を展開している。人口10万人あたりの店舗数をみると、全国平均は2.58件(「とどラン」調べ)。5万人あたりで1.29件となるので、「人口が4万を切る地域には出店しても利益が見込めない」とされているのだろう。
マクドナルドの人口あたり店舗数が最も多いのは、意外にも滋賀県だ。同県には10万人あたり3.7件のマクドナルドがあり、全国平均の1.43倍にのぼる。次いで多いのが東京都で3.46件、以下、京都、大阪、奈良と続く。人口あたりの店舗数には、東京と滋賀を中心とした2つの山があり、そこから離れるほど店舗数が少なくなる。このような分布になっている理由を、とどランでは「店舗密度が高いエリアと低いエリアが混在すると、配送効率が悪くなるから」と解説している。マクドナルドらしい合理的な出店戦略といえるだろう。
ではなぜ、滋賀県が人口あたりの店舗数で1位なのか。関西圏のベッドタウンである滋賀は、「子育て世帯数」や、「子ども数」が全国2位。マクドナルドは近年、収益性の低い都心の小型店を閉鎖する一方、家族客を取り込むため、ドライブスルーを備えた郊外型の店舗を数多く出店している。その影響で、大阪などよりも店舗数が多くなったのかもしれない。「週末は家族でマクドナルド」という家庭が、滋賀には多そうだ。ちなみに同県は、2008年の「パン消費量」が全国2位となっている。
一方で滋賀は、モスバーガーの人口あたり店舗数が全国47位。マクドナルドが多すぎるため、出店余地がなかったのかもしれない。モスバーガーは関東と東海、九州に多く、関西では極端に少ない。外食産業の勢力図を眺めていると、それぞれの出店戦略や歴史が見えてくる。(編集担当:北条かや)