値上がり率1位の山一電機<6941>は超薄型の多層基板を開発したという報道を好感されストップ高80円高で昨年来高値更新。同じ半導体検査関連銘柄の日本電子材料<6855>のストップ高80円高で同2位は前日と全く同じ。切削工具大手のOSG<6136>は前日に11月期決算と増配を発表。今期の通期見通しは17%の営業増益で、145円高で昨年来高値を更新し値上がり率7位。
NTTドコモ<9437>は後場発表の12月の携帯電話契約数の純増数が27.91万件で2年ぶりの1位で、前場のマイナス圏から急騰し34円高で昨年来高値を更新した。同様のチャートパターンを描いた任天堂<7974>は660円の大幅高で昨年来高値を更新。丸紅<8002>は2016年までに1500億円を投資して首都圏に5カ所、合計60万キロワットの火力発電所を建設すると大きく報じられたが値動きなし。特定規模電気事業者では最大の出力規模になるといい、電力小売全面自由化のビジネスチャンスを活かす。
鳥インフルエンザはカナダで北米初の死者が出て、「クレベリン」が北米で販売拡大が見込まれ大幸薬品<4574>が111円高で昨年来高値更新。三菱マテリアル<5711>は前日、四日市工場で爆発事故が起き死者が出て6円安。その工場で製造していた多結晶シリコンの代替生産が見込めるとトクヤマ<4043>は20円高。兜町では人が死ぬ出来事も株価材料になる。その人で稼ぐ人材派遣業は駆け込み需要期の業績拡大が見込まれ、アウトソーシング<2427>が80円高で値上がり率13位、ヒト・コミュニケーションズ<3654>が114円高で同15位に入っていた。
昨年、iPS細胞関連の日経平均採用銘柄として人気を集めた大日本住友製薬<4506>は、提携先のインターセプト・ファーマシューティカル社が生活習慣病の非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の薬の臨床試験で好結果を出し、9日のNASDAQ市場で株価が約4倍になったのを材料に272円高で昨年来高値を更新し値上がり率3位に入った。親会社の住友化学<4005>も13円高で昨年来高値更新。その米倉会長が「後任も製造業の方を」と榊原会長を次期経団連会長に指名した東レ<3402>は1円高だった。
昨年は「出遅れ系」として株価が華々しく上昇した海運セクターに激震。公正取引委員会が自動車輸出運賃カルテル問題で海運大手を処分し、日本郵船<9101>は3円安、川崎汽船<9107>は値動きなし、子会社の日産専用船が処分される商船三井<9104>は3円安。以前は日産<7201>の子会社だったがゴーン改革で持株を商船三井に売って現在の保有比率は10%で、日産は10円高と影響なし。船を造るほうの佐世保重工業<7007>は13円高で値上がり率5位に入っていた。不動産大手もシティグループ証券がセクターの投資判断を引き下げて軒並み安。三井不動産<8801>は45円安、三菱地所<8802>は48円安、住友不動産<8830>は90円安。
ローソン<2651>が前日に3~11月期の決算を発表。営業利益は2%増で7四半期連続最高益、純利益は7%増で2四半期連続最高益。しかし通期見通しは据え置きで270円安で値下がり率16位。対照的にポプラ<7601>は2時に最終損益12.6億円赤字の3~11月期決算を発表し、通期最終赤字を17.9億円下方修正するなど「ボロボロの01銘柄」になったが、自社株消却発表で株価を取り戻し1円安。コンビニは上位3社は「わが世の春」でも、下位銘柄は大寒波に凍えている。
この日の主役は、SQで朝方は売買代金1~3位に顔合わせした「御三家」筆頭ファーストリテイリング。前日大引け後に9~11月期(第1四半期)の決算を発表し、前年同期比で売上高は22%増、営業利益は13%増で過去最高益を更新。「ユニクロ」海外店舗が売上高77%増、営業利益97%増と特に好調だった。ADR(米国預託証券)は円換算で東証終値比+1897円、+4.77%と急騰し、東京市場でも4ケタ高をほぼ維持し終値は1300円高。その身代わりで先物売りに伴う値がさ株売りの矢を雨あられと浴びせられたのが「ファナックの立ち往生」。520円安でマイナス寄与度は-20円と突出していた。(編集担当:寺尾淳)