ソニー<6758>は営業赤字を垂れ流す「VAIO」ブランドのパソコン事業を投資ファンド「日本産業パートナーズ」に売却すると報じられ70円高。それにより2年ぶりに最終赤字を計上するという。サード・ポイントはパソコンとテレビ事業のリストラを迫っていた。「住宅と自動車」への選択と集中が効果をあげ、パナソニック<6752>の決算は通期業績見通しは据え置きでも4~12月期の最終黒字が2430億円で10~12月期の純利益は市場予測を上回り、上方修正期待が出て201円高、18.94%上昇で堂々の値上がり率1位。売買高は6位、売買代金は3位だった。通期経常利益を上方修正したOKI<6703>は37円高で値上がり率3位、売買高4位。日立<6501>は通期営業利益を21%増の5100億円に上方修正して21円高。バブル時代の91年3月期以来の数字という。
NEC<6701>は1円安。富士通フロンテック<6945>の元部長が横浜銀行<8332>のカードを偽造した事件で謝罪コメントを出した富士通<6702>は8円安。富士通フロンテックは66円安、横浜銀行は5円高だった。シャープ<6753>はリストラ効果で通期が営業黒字の見通しでも9円安だったが売買高は2位。イビデン<4062>は純利益が7.3倍の165億円、通期見通しも上方修正する好決算を発表し、野村證券が目標株価を引き上げて163円高になった。
神戸製鋼<5406>は今期の最終利益を上方修正したが、約1000億円の公募増資を発表するとやはり希薄化懸念が出て10円安で値下がり率5位。旭化成<3407>は後場に決算発表を行ったが、通期業績予想を下方修正しては年間配当予想を1円積み増した程度では効かず26円安。クラレ<3405>は通期見通しを下方修正して19円安だった。
富士フイルムHD<4901>は、2年半以上も待たされた傘下の富山化学のインフルエンザ治療薬「アビガン(ファビピラビル/T-705)」の製造販売承認が3月にもおりる見通しになり75円高。政府はでに備蓄を始めている。円安効果が出て通期の営業利益見通しを10億円上方修正したアシックス<7936>は166円高で、最終利益を10億円上方修正した大日本スクリーン製造<7735>とともに値上がり率12位に並んでいた。
三井物産<8031>は後場に決算発表とともに4000万株の自社株取得枠を設定し94円高。4~12月期決算もエネルギー分野が貢献し純利益18.9%増で、通期見通しの3700億円への進捗率は81.6%。ビックカメラ<3048>は、BS11チャンネルを放送する連結子会社の日本BS放送<9414>の東証2部上場承認を好感され2.65%上昇の1500円高。セブン&アイHD<3382>は期末配当を2円積み増したが1円高どまりだった。
投資家の関心が決算たけなわの東証1部の主力大型株に移りゲーム・コンテンツ関連は低調。スクエニHD<9684>は売買代金5位でも130円安で値下がり率11位。コロプラ<3668>は147円安、ガンホー<3765>は12円安。任天堂<7974>は465円の大幅逆行安。日本コロムビア<6791>は、日本人作曲家の作品を実は他人が作曲していたというスキャンダルでCD出荷と音楽配信をストップしたが、それでもフェイス<4295>によるTOBを材料に連日のストップ高比例配分の100円高で値上がり率5位に入った。フェイスは2円高で終えた。
この日の主役は330円の大幅高で日経平均プラス寄与度2位のトヨタ。業種別騰落率トップの輸送用機器セクターの代表銘柄と言うより日本株の代表銘柄。主力株のニュース目白押しの中で今週最大の注目が前日大引け後のトヨタの決算だった。通期の純利益見通しを前期比97.5%増の1兆9000億円に上方修正し6年ぶりに最高益を更新する見込み。営業利益見通しは82%増の2兆4000億円、売上高見通しは16%増の25兆5000億円で、どれも市場予測を上回った。想定為替レートをドル円は現状スレスレの100円、ユーロ円は134円に引き上げたのが少し気がかりだが、国内販売は消費増税前の駆け込み需要が旺盛で、よほどのことがない限り本決算は見通しを上回ってゴールインできそうだ。(編集担当:寺尾淳)