【今週の展望】「聖バレンタインデーの虐殺」から反転開始

2014年02月16日 20:12

 ところが、この言葉は「酒田五法」では本来、高値圏での天井形成の見きわめに利用されるものだった。今の日経平均は高値圏どころか、大納会から2月4日までの1ヵ月少々で2000円以上も下落してしまった後の「リハビリの途中」の状態である。三空と言ってもウサギのように元気に跳ねているわけではなく、為替の円安やNY市場の上昇のような外部環境の好転に助けられて、7日が79円、10日が176円、12日が96円と、たまたま朝の高寄り、マド開けが3日続いただけのことなのだ。それでも容赦なく2日間で487円の大幅下落を喫したことで、3つのマドは全部埋めきった。

 マドを埋めた後はどうなるのか。「酒田五法」には「押しは空まで、戻りは空まで」とある。つまり下落して(押して)マド埋めを完了したらそこから反転するから、そこが押し目買いのチャンスだと教えている。前週は14日で「三空」のマド埋めを完了しているので、「酒田五法」で言えば今週は反転する週、ということになる。

 江戸時代だけでなく現代のテクニカル分析も加味すると、14313.03円という水準は25日移動平均乖離率では-5.32、RSI(14日)では34.7で「まだ下がる余地がある」と思われるかもしれないが、移動平均線は5日も25日も75日も13週も26週も上にあり、200日移動平均線の14463円も下回って、下にあるのは52週移動平均線の14150円だけである。日足の一目均衡表では雲ははるか上空に浮かび、基準線は15058円、転換線は14435円でこれも上にある。25日、13週のボリンジャーバンドでは-1σと-2σの間に位置する。いつ反転してもおかしくないポジションにあると言える。

 ただ、「虐殺」の14日に25日と75日の移動平均線が「デッドクロス」を形成した縁起の悪さが気になるところだが、デッドクロスも酒田五法の「三空」と同様に高値圏での天井形成の目安だと考えると、終値が200日移動平均をも下回った安値圏ではそんなに深刻に考える必要はないと思われる。ザラ場中に先物主導で下げたとしても、52週移動平均線の14150円あたりが下値の防衛線になってくれるのではないか。

 今週は17~18日に日銀の金融政策決定会合があるが、4月の消費増税の前に追加緩和策を撃つのは早すぎる。黒田総裁は〃チンピラ〃が気になってシメたくても機関銃のタマをムダづかいしてはいけない。おそらく金融政策現状維持になるだろう。ただ、20日の中国のHSBC製造業PMIという、1月も日本株を急落させている「マーケットの殺し屋」には要警戒。シャドー・バンキングという、中国の金融当局もアンタッチャブルで正体を把握しきれない、禁酒法時代のスピークイージー(もぐり酒場)のような闇金融も潜んでいる。サウスサイドのチャイナタウンには気をつけな、だ。全体的には決算発表もほぼ終わって日米ともイベントの谷間になるので、テクニカルな自律反発にはいい環境だろう。しかし、13、14日の白昼の先物売りがアル・カポネ顔負けの残酷さだったので、反転してもリハビリに時間がかかり、15000円台の回復は2月いっぱいはかかると思われる。

 ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは下限を14日の終値近辺、上限を26週移動平均線の14852円の手前と考えて、14300~14800円とみる。1929年の「聖バレンタインデーの虐殺」の舞台、シカゴのCME日経225先物の2月14日の清算値は14440円で、日経平均終値よりも127円高かった。(編集担当:寺尾淳)