【日経平均】五里霧中で自律反発もままならずに49円安

2014年03月17日 20:21

 NTT<9432>は売買代金7位だが208円の大幅安でTOPIXを大きく押し下げた。KDDI<9433>も同6位で48円安。オリンパス<7733>は30円高だったが、ニコン<7731>は中国の国営テレビCCTVがデジタル一眼レフ「D600」を「欠陥商品」と放送し、上海市工商局が販売停止命令を出して29円安。コマツ<6301>も35円安など前週以来の中国関連銘柄の弱含みは続く。しかし鴻池運輸<9025>は、中国の関連会社が江蘇省常熟市で物流センターを着工したと報じられ63円高で値上がり率4位。中国がらみの材料は何でもダメというわけではない。

 次世代電力計「スマートメーター」を電力10社が2024年度までに全世帯に配布というニュースが伝わり、メーカーの東光高岳HD<6617>は23円高、大崎電気<6644>は25円高で値上がり率5位に入った。プラント大手の千代田化工<6366>は12円高、日揮<1963>は17円高と株価を上げたが、シンガポールで医療機関や大型商業施設など600億円のプロジェクトを受注という材料がありながら清水建設<1803>は11円安。大林組<1802>もUBSがレーティングを引き上げたが6円安で終えていた。

 前週の銅先物価格の急落の影響が続いて住友金属鉱山<5713>は8円安。しかし三菱マテリアル<5711>は2円高で、チリに銅鉱山を持つ日鉄鉱業<1515>も1円高。鉄鉱石の価格も下落したが、それに伴い鉄スクラップ価格が下落しても国内は建設需要が旺盛なので4月分の鋼材価格が横ばいにとどまり、電炉メーカーの東京製鐵<5423>は18円高と買われて値上がり率8位に入った。

 真珠のTASAKI<7968>は11~1月期の好決算の余韻が残りストップ高の100円高で2営業日連続の値上がり率1位。一方、石塚硝子<5204>は45円安で値下がり率1位。14日発売の「会社四季報」春号で来期減益と書かれたためで、四季報恐るべし。オリックス<8591>は、個人年金で知られるハートフォード生命の日本法人を買収すると発表し売買代金12位と注目されたが45円安。公示地価発表を翌日に控えながら不動産大手は三井不動産<8801>42円安、住友不動産<8830>111円安、東急不動産HD<3289>が9円安で昨年来安値を更新するなど総崩れの中、東京建物<8804>が4円高と逆行高した。

 2月期決算の小売業大手の業績関連ニュース3題。セブン&アイHD<3382>は純利益が約1750億円で2期連続の最高益更新という観測報道でも12円安で6日続落。イオン<8267>は天候不順が災いして通期の営業利益を1700億円に下方修正し、増益から一転10.8%減の減益見通しで50円安。この日11円安のダイエー<8263>が250億円の最終赤字見通しを出してイオンの足を引っ張った。しまむら<8227>は秋冬物が不振で5年ぶりの減益という観測報道で40円安。白物家電の今年の国内出荷額は前年度比で8.6%減という見通しが出て、ヤマダ電機<9831>は5円高で終えてもビックカメラ<3048>は6円安。消費増税後に反動減が待っている小売関連銘柄は手を出しづらい。

 この日の主役は孤軍奮闘したソフトバンク。381円高で値がさ株には珍しく値上がり率3位に入り、情報・通信セクターを唯一の上昇業種に押し上げた。売買高は10位。売買代金は2172億円で東証1部全体の11.6%を占め、ランキング2位の三菱UFJの5.6倍もありダントツの1位。中国の子会社アリババがアメリカの株式市場に新規上場する手続に入ったと報じられたのが好感された。保有株の含み益が3兆円ともいわれるアリババが上場して売却益を得れば、財務内容が強化されてソフトバンクの株価は底堅くなり、次の大型M&Aに備えられる。ソフトバンクは時価総額がトヨタに次ぐ9兆円と巨額の値がさ株なので、TOPIXにも日経平均にも好影響をもたらし日本株全体が明るくなるだろう。(編集担当:寺尾淳)