【今週の展望】半値戻しして200日移動平均線突破を目指す

2014年04月13日 20:37

 1週間で1103円安、-7.32%の「大崩壊」を喫したことで、いま日経平均の位置は〃深海の底〃にある。11日終値の13960.05円に対し、200日移動平均線は14608円、25日移動平均線は14653円、75日移動平均線は14668円と、移動平均線3本が14600円台で束になっている。そこまでの距離は640円以上。ほんの1週間前まで首を突っ込んでいた日足一目均衡表の「雲」は14756~15158円で、約800円も離れた上空に浮かぶ。もう、移動平均線を引き合いに出すテクニカル分析も、一目均衡表を引き合いに出すテクニカル分析も、無意味な境地に達してしまった。

 トレンド系指標がダメなら、オシレーター系指標の「売られすぎです」というご託宣に慰められるしかない。だが、ストキャスティクスやRSIや日経平均225種のPERなどは確かに「売られすぎ」ゾーンに片足を突っ込んでいるが、騰落レシオは78.4で70までは下がっておらず、25日移動平均乖離率は-4.7%で-5%までは下がっていない。12日サイコロジカルラインに至っては50%で全くのイーブン。これだけ下げても「売られすぎ」シグナルが全面的に点灯しているわけではない。それもこれも、3月最終週から4月第1週までの短期間にワルノリ分子も加わって大きく上昇したおかげ。なんだか「ワルノリ分が剥げ落ちた勢いが余って落ち込んだんだから、あまり騒ぎなさんな」と、たしなめられているかのようだ。

 それでも今週、自律反発なら望める。11日のNY市場は下落したが、日本-アジア-ヨーロッパ-アメリカと株安が地球を一周しても週末でスイッチオフしたので、ひと息入れて気分を変えて、14日の月曜日は東京市場から出直せる。しかも11日のマイナーSQ日に悪材料が一気に出尽くした感もあり、日本株の身体はけっこうデトックスされている。今月ずっと続いてきた「○○待ち」の様子見も今週は特に見当たらないので、少なくとも日経平均が年初来安値連続更新という事態にはならないと思われる。

 11日のシカゴCME先物清算値は13900円だったが、今週は自律反発分もあるので100円足して14000円ぐらいが下限とみる。そしてまず目指すべき目標はやはり200日移動平均線の14608円の回復だろう。それは前週の1103円安の半値戻しプラスアルファでクリアできるが、前週にこのラインを再び割り込んだことで「五条大橋以前の弁慶」に戻ってしまい、上値抵抗線として14600円付近で上昇を阻もうとするかもしれない。

 だが今週、半値戻し、200日線突破を目指す日経平均を迎え撃つ「敵」になりそうな存在がいくつかある。一つ目は16日前場に集中する「中国の経済指標」で、特に1~3月のGDPは危険度大。二つ目は連日発表が続く「アメリカ主要企業の決算」で、NY市場を混乱させて東京市場にも累が及ぶ可能性がある。金融系よりもむしろNASDAQのハイテク系の動向のほうが、「日経平均寄与度御三家」のソフトバンク<9984>の株価を左右しそうで怖い。

 そして三つ目は「黒田東彦」という人物である。経済指標の発表が少なく決算発表が端境期の今週、国内最大のリスク要因と言ってもいい。黒田総裁が8日の記者会見で披露した、マーケットに対し超然と構えてつけ入るスキを与えない硬派な「サムライ・ニッポン銀行」ぶりを16日、17日のスピーチでまた繰り返したら、海外から容赦なく売りの砲弾を浴びせられる恐れがある。9日に発表されたFOMCの議事録でFRBに対するマーケットの好感度が増しただけに、「日銀はどうなのか?」といま、世界から問われている。

 そんなリスクもはらみながら、今週の日経平均終値の変動レンジは14000~14600円とみる。今週末は復活祭(イースター)だが、日本株が前週の苛酷な受難の日々からよみがえり、投資家に福音がもたらされる「大復活祭」の週になるだろうか。