AMDが好決算を出し、3月の北米半導体製造装置BBレシオが上昇し半導体SOX指数も続伸したのを受け、東京エレクトロン<8035>は39円高。しかしアドバンテスト<6857>は6円安、大日本スクリーン製造<7735>は8円安。シリコンウエハーの信越化学<4063>は売買代金11位と買われ73円高で年初来高値を更新した。
東京電力<9501>は4月末借り換え分の無担保融資を大手4行が実施するニュースがあり、財務の安定を好感され売買高7位、売買代金15位の9円高。天然ゴム価格の下落が報じられてブリヂストンが売買代金12位の87円高と買われ、ゴム製品はプラスセクターになった。もう一つのプラスのセクターが食料品で、JTが77円高で売買代金10位に入っていた。東亜道路工業<1882>は3月期業績見通しの上方修正と増配を好感され21円高で値上がり率5位になった。
3月期決算の発表にからんで「これでいいのだろうか」と思わせるお話が3題。一つ目は安川電機<6506>で、スマホ関連の工作機械、産業用ロボットが引き続き好調で今期の営業利益見通しが7%増の275億円でも、市場予測平均が328億円もあるため68円安で値下がり率18位。親の期待値があまりにも高いと子どもを挫折させてしまうことをアナリスト諸氏はご存知か。二つ目は京セラ<6971>で、日経新聞の業績観測記事の3月期の営業利益が1割増の1300億円に対し市場予測が1328億円で、2.1%足りないために売り込まれて103円安。業績を勝手に予想されて、それを勝手に失望されて株価が下落した。まるで噂話を証拠に「欠席裁判」を受けたようなもの。最後は、今期の営業利益20%増という業績観測報道があり158円高で値上がり率2位に入った小松ウオール工業<7949>で、アナリストの市場予測が全く存在せず〃裁判官〃がいなかった。
ノンバンクの前日の上昇はやはり1日限り有効だったようで売買を伴って軒並み反落。売買高1位、売買代金2位のアイフル<8515>は23円安。値下がり率6位、売買高6位のオリコ<8585>は9円安。アコム<8572>は22円安で値下がり率11位。アプラスF<8589>は8円安だった。ネット・コンテンツ関連ではヤフー<4689>が5円高と堅調だったが、この日、東証1部に市場変更になったコロプラ<3668>は125円安と初日から手荒な歓迎を受けた。
この日の主役は「不動産ネット取引関連銘柄」。国土交通省が2015年にも不動産のネット取引の解禁を検討中というニュースが報じられた。掲載物件数最大の不動産検索サイト「ホームズ」を運営する東証1部のネクスト<2120>は41円高で値上がり率8位、住宅・不動産情報サイト「O-uccino」を運営するマザーズのオウチーノ<6084>も138円高。どちらも一時ストップ高だった。前日の貸金業の金利規制緩和は与党サイドからの話だったが、これは官庁サイドからの話なので実現可能性も含めて情報の信ぴょう性はやや高い。しかし、不動産取引をネット上だけで完結させるには、物件見学はバーチャルでできても「なりすまし」の完全な防止や宅地建物取引業法で定められた「重要事項説明」をどうするかなど、課題は多い。それを確定申告の電子認証や投資信託目論見書の電子交付のような形で済ませても、大丈夫だろうか。(編集担当:寺尾淳)