【日経平均】上値を追う勢いは乏しく尻すぼみの68円高

2014年05月20日 20:36

 キヤノン<7751>は22円高で年初来高値更新。売買代金9位だった。花王<4452>も86円高で年初来高値更新。関西電力<9503>は不動産関連の2社を統合するなどグループ再編の合理化策を打ち出し36円高。子会社のケイ・オプティコムは格安スマホに参入する。セガサミーHD<6460>はマカオやシンガポールのカジノに参入すると報じられ60円高。日清紡HD<3105>はタイに商用車用ブレーキ工場を設立して現地の自動車工場向けに供給するニュースで7円高。戒厳令が出ても経済活動は止まらない。

 ロシアのノリリスク・ニッケル社が「来年の世界市場は供給不足に陥る」とコメントして19日のロンドン金属取引所(LME)のニッケル価格が5.6%上昇し、売買高5位、売買代金10位に入った大平洋金属<5541>は39円高で年初来高値を更新し値上がり率6位。住友金属鉱山<5713>も売買代金15位と買われて33円高だった。

 決算シーズンがほぼ終わると、自社株買いと投資判断の引き上げによる株価上昇銘柄が目立ってくる。自社株買い発表は、200万株のウシオ電機<6925>が44円高、90万株のキヤノン電子<7739>が50円高。11時30分発表の250万株の日成ビルド工業<1916>は21円高で値上がり率5位に入った。投資判断の引き上げは、平和<6412>は三菱UFJ証券がPGMHD<2466>株の保有を評価してレーティングを引き上げ71円高で年初来高値更新、ラウンドワン<4680>は三菱UFJ証券が目標株価を引き上げ14円高、ニチレイ<2871>はみずほ証券が目標株価を引き上げ19円高、日本ハム<2282>はみずほ証券が目標株価を引き上げ37円高、エーザイ<4523>は野村證券がレーティング、目標株価を引き上げ36円高、TOTO<5332>はシティGがレーティングを引き上げ16円高。クスリのアオキ<3398>はいちよし経済研究所が新規に「買い」とし210円高で値上がり率8位になった。

 不動産は三井不動産<8801>が20円高、不動産投資顧問業務を拡大して2020年度の運用資産を2.5倍に増やすと報じられた三菱地所<8802>が20円高、住友不動産<8830>が売買代金11位で98円高。売買高6位のケネディクス<4321>は12円高だった。

 日本M&Aセンター<2127>は会長、社長保有分の254.4万株の売出しを発表。需給悪化懸念で104円安になり年初来安値を更新し値下がり率16位。前日決算発表組は、ノーリツ鋼機<7744>は3月期の純利益は3.2倍だが今期が62%減ではストップ安比例配分の150円安で値下がり率1位。東京コスモス電機<6772>は今期営業利益が10.2%減、純利益が11.9%減の見込みで21円安で年初来安値を更新した。トレンチコートを映画の中の名刑事も迷刑事もご愛用の「バーバリー」と2015年6月限りでお別れすると発表した三陽商会<8011>は34円安で年初来安値を更新し値下がり率2位。日本では1970年から45年間も取り扱い、売上高の約2割を占めているというから痛い。

 「一太郎」のジャストシステム<4686>は前週発表した過去最高益の好決算を評価されNYにあるEVAディメンション社がレーティングを引き上げ、ストップ高の100円高で値上がり率1位。ネットを活用したデータ管理とマーケティング代行を行うパイプドビッツ<3831>はこの日が東証1部への市場変更で、117円高で値上がり率3位と上々の初日。新興市場ではミクシィ<2121>がマイナス圏から急伸し260円高、MVNOの日本通信<9424>は23円高、日本マイクロニクス<6871>はストップ高の700円高だった。
 
 この日の主役はソフトバンク<9984>とヤフー<4689>。前日のアメリカ市場でモメンタム銘柄の株価が上昇し、アリババの上場には好条件。株価は高く始まっても前場途中でマイナスにタッチしたが、後場はプラスを保って終値30円高。売買代金はほぼ指定席の1位。社外取締役に日本電産<6594>の永守重信社長が内定というニュースもあり、日本電産は10円高。ちなみに同じ「御三家」のファーストリテイリングの柳井正社長もソフトバンクの社外取締役を務めている。ヤフーは前日、ソフトバンクと協議しイー・アクセス株の取得・買収を断念すると発表し48円高で売買高、売買代金、値上がり率とも2位。序盤は9時21分まで買い気配で値がつかない人気でSMBC日興証券がレーティングを引き上げた。3月27日の買収・子会社化の発表時から財務負担に比べてメリットが小さいと言われてきたので、「勇気ある撤退」をマーケットは評価したようだ。(編集担当:寺尾淳)