【日経平均】上がるも下がるもソフトバンク次第で11円高

2014年06月05日 20:12

「Shall we ダンス?」と日経平均をお誘いして大引けまで株価が華麗にシンクロしたソフトバンクは25円高で日経平均ともども小幅高だったが、陽気な材料盛り沢山で1137億円の大商い。スマホの売掛債権3800億円を売却して財務を改善する話題に始まり、NY時間にはダウ・ジョーンズがソフトバンク子会社スプリントとTモバイルUSが合併合意に向けて最終段階に入ったと報じた。さらにウォールストリートジャーナルは3.3兆円規模の大型買収に「大筋合意」と報道したが、アメリカ政府当局との反トラスト法がらみの問題の処理が残っている。

 LINEが中国で提携先をソフトバンク系企業に乗り換える話も出て、午後には孫正義社長がロボット事業参入の記者会見を開いた。フランスのグループ企業が開発した「感情認識機能」搭載のヒト型ロボット「Pepper」を来年2月に19.8万円で発売する。6日から東京の銀座と表参道のソフトバンクショップでお披露目するが、それならヒト型よりも白いイヌ型ロボットのほうがウケそう?

 鉄鋼セクターは引き続き好調で業種別騰落率3位。新日鐵住金<5401>は売買高4位、神戸製鋼<5406>は同7位でともに3円高だった。不動産は逆に続落し住友不動産<8830>は64円安、三菱地所<8802>は19円安。自民党が公明党を安全保障問題で味方につける代わりにカジノ推進法案の今国会での法案成立を見送るという報道があり、カジノ関連のオーイズミ<6428>は59円安で値下がり率2位、日本金銭機械<6418>は62円安で同12位。カジノ関連法案を最初に提出した日本維新の会は分裂してしまった。

 クレディスイスがレーティングを引き上げたANAHD<9202>は売買高11位に入り2円高。JAL<9201>は80円高で年初来高値を更新し、空運セクターは業種別騰落率トップになった。

 日経ジャスダック平均は+0.23%で11日続伸したが東証マザーズ指数は-0.36%で続落。ソフトバンクのヒト型ロボットが関連銘柄の買いに火をつけ、サイバーダイン<7779>は440円高、菊池製作所<3444>はストップ高の700円高になった。新興市場の王者ミクシィ<2121>は290円高と反発した。

 この日の主役は真夏にかけて書き入れ時のアサヒGHD、サッポロHD<2501>のビール2社。アサヒGHDは前日、最大2000万株、500億円、発行済株式数の4.32%相当の自社株買いを発表。同時に金庫株の放出でユーロ円建て新株予約権付社債477億円分を8月に取得、消却することも発表した。株主総会は3月に済んでいるが積極的な株主還元策が好感され売買代金10位に入り、160円高で上場来高値を更新して値上がり率15位。TOPIX寄与度ではトップだった。

 一方、サッポロHDは「極ZERO」の税率適用区分が「リキュール(第3のビール)」ではなく税率が高い「発泡酒」だったと発表した。昨年6月発売のこの商品は年末までに358万ケースを売り上げ、「黒ラベル」「麦とホップ」「ヱビス」に次ぐ準主力商品。販売を終了し改めて発泡酒として発売するが、売ってしまった分はもう税金が取れず追加納税額は約116億円。これは前期の最終利益94億円を上回り今期決算に重くのしかかる。JPモルガンが目標株価を引き下げ株価は30円安で値下がり率1位。東京はこの日、梅雨入りしたが、真夏にエルニーニョが出現して冷夏になったら泣きっ面にハチになりそうだ。(編集担当:寺尾淳)