今月、千葉県にある大型ショッピングモール内に「イオンペット」がオープンすると発表されたが、注目を集めた理由は、それが犬用の介護サービス施設だということにある。イオンペットはこれまで、ドッグフードなどの関連商品販売や、トリミング、ペットホテル、しつけ教室、動物病院、などのサービスを展開していたが、ここに犬の介護という新しい事業を加えていくことになった。イオンペットの介護施設では、1匹当たり約1.5平方メートルのスペースを用意し、20匹ほどの受け入れを準備している。連携する動物病院には獣医が24時間常駐し、医療行為が必要なときにはいつでも対応できるようにしている。運動施設も用意され、それぞれの犬の健康状態に合わせて、ケアワーカーが体を動かすことを手伝ったり、食事の介助などを行う。料金は犬の体重によって決められ、1匹あたり、1か月でおよそ10万円程度を予定している。
犬の平均寿命は近年、飛躍的に延びたとされている。一昔前までは、狂犬病や、蚊を媒介としたフィラリアが犬の命を奪ってきた。しかし、ワクチンの普及や、治療技術の向上で、長生きするペットが増加しているのだ。医療技術の発達は、人のみならず、犬の寿命をも延ばすのに役立っているようだ。それに伴って、犬の高齢化問題も浮かび上がってきた。認知症による夜間の遠吠えが問題となったり、歩行困難になった犬の排せつ処理など、時間も体力も必要となる介護に、飼い主の方が先に参ってしまったという事例もある。そんな飼い主のニーズに応じて、老犬ホームと呼ばれる犬専門の介護施設や、年老いた犬の食事や排せつを手伝う動物介護士など、サービスは年々充実していっているようだ。
昨年施行された、改正動物愛護管理法は、ペットの世話を最期まできちんと行うことを飼い主の責務として規定した。仮にペットの病気や高齢化に伴う介護が必要になったことを理由に、飼い主が保健所に引き取りを求めても、保健所はこれを拒否できる。こうした法改正の動きも、ペット介護サービスが行われるようになった理由のひとつなのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)