宅配便事業社のヤマト運輸 配達業務にいくつかの新施策を実施

2014年08月20日 07:39

Kuroneko

ヤマト運輸は配送トラックを時間貸し駐車場などに停めて配送拠点とし、3-4人の女性チームが手分けして「チーム配送」するシステムを導入する。

 ヤマト運輸では、配送需要が急増しているインターネット通販事業者を囲い込む構えだ。同社は2012年9月から「受取場所選択サービス」をスタートさせていたが、取り扱うネット通販商品は化粧品販売のオルビスなど一部にとどまっていた。そこで、この6月から通販大手のディノス・セシールなど7社が販売する商品の取り扱いをスタートさせ、コンビニ店頭でのネット通販の商品受け取りサービスを拡充した。全国のコンビニ約2万店で、消費者がネット通販で購入した商品を受け取ることができる。

 ネット通販利用者は、「クロネコメンバーズ」会員になれば、パソコンやスマートフォンで買い物をする際に、注文した商品の受け取り場所を選べる。受け取り店はサイトの地図画面で指定する。コンビニ店内の情報端末で、メールに送られた宅急便の「送り状番号」と「認証番号」を入力してレシートを発券。レジで荷物を受け取るというシステムだ。

 提携するコンビニは、ファミリーマートの店舗約1万200店と、サークルK・サンクスの約6250店。ヤマト運輸の約4000カ所の営業所を加えると、受取場所は従来の約3倍の約2万4400カ所になる。

 このコンビニや営業所などでの受け取り先指定システムは、深夜や早朝など配達時間外でも自宅近くやオフィス近隣のコンビニで購入商品を受け取れ、自宅への配達を敬遠するひとり暮らしの女性などに好評だ。

 ネット通販では、アマゾンジャパンがローソンとファミリーマートの約2万店舗で商品を受け取れるサービスを提供。楽天の書籍もファミリーマートなどで受け取れる。ヤマト運輸では今後ともネット通販各社に自社のサービスの活用を提案、顧客企業の囲い込みにつなげていく考えだ。

 ヤマト運輸の2013年度の宅急便の取り扱い個数は、16億6587万個と2012年に比べて12%増えた。ネット通販の成長が原動力になっており、これに対応した集配網を構築してきた結果だという。

 また、ヤマト運輸は配送の効率化に向け、女性配送員を今後3年で5割増やし2万人体制にする計画も発表している。3-4人の女性チームを編成し宅配荷物を届けるシステムを作り、ドライバー単独での配達から切り替える。住宅密集地などで数人の女性配達員が手分けして荷物を届ける「チーム集配」と呼ぶ手法を導入する。まず首都圏、京阪神など中心に全国配送網の約10%に導入するという。前述のネット通販の急速な普及で宅配便の取り扱い個数は増え続けており、住まいの近隣地理に詳しい主婦層を戦力にして、迅速できめ細かい配送サービスにつなげるという。

 具体的な「チーム集配」の方法は、300m-1000m四方のエリアを、1名のドライバーと3-4人の女性チーム配送員が担当する。配送トラックを移動型物流拠点とし、駐車したトラックから女性配送員が自転車や台車で近隣の個人宅などに届ける。

 同社では、在宅率が高い午前中の3時間に「チーム集配」で集中配送することで、再配達にまわされる荷物が10-20%減ると見込んでいる。女性配達員の採用増に向けパート処遇制度の拡充も図り、勤務年数や能力を時給に反映させるなどの柔軟な仕組み作りを検討している。今後、労使間で協議し、来年度から実施する予定だ。(編集担当:吉田恒)